将棋の永瀬拓矢王座(29)が、第93期棋聖戦で藤井聡太棋聖(19)=竜王・王位・叡王・王将と合わせ五冠=への挑戦権を獲得した。両者がタイトル戦で顔を合わせるのは初めて。藤井のプロ入り直後から「ぶつかり稽古」を重ねてきた両者が、ついに大舞台で激突する。
永瀬は25日、東京都渋谷区で行われた棋聖戦の挑戦者決定戦で渡辺明名人(38)=棋王と合わせ二冠=と対戦した。振り駒の結果、受け身になりがちな後手番になったが、渡辺の得意戦法である矢倉にバランス重視の陣形で対抗。相手の攻めにうまく対応して優位を築き、そのまま押し切った。永瀬が棋聖戦で挑戦者になるのは6期ぶり2度目だ。
永瀬と渡辺は2~3月の棋王戦五番勝負で対戦し、渡辺が3勝1敗で防衛を果たしている。昨年の棋聖戦挑戦者決定戦でも渡辺が勝っており、過去の対戦成績は渡辺の19勝6敗だった。永瀬は難敵を破って、今年2度目となるタイトル戦への切符をつかんだ。
感想戦の後、報道陣による囲み取材が行われた。藤井との初めてのタイトル戦が決まったことについて問われると、「実現できて良かったです」。その後も「まずは1勝を挙げられるように」などと謙虚な言葉が続いたが、ひょんなことから、ある「自信」をうかがわせる言葉が飛び出した。
「藤井棋聖の実力は自分が一…