小平奈緒はあえて「弱さ」を見せた 17位と10位でも下は向かない

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菅沼遼
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 思い描いていた滑りは見せられなかった。小平奈緒は痛みと戦っていた。

 悪夢のような出来事は、大会の1カ月前に起きた。1月中旬。長野市で練習場所に歩いて向かっている途中、積もった雪に足を取られた。ねんざを負った。その後の2週間、まともに滑れなかった。

 そのまま北京に入った。

 スタートも思い切ってできない。男子選手の動きを見て「これだったらいけるかも」とまねてみたが、体がついてこなかった。

 苦しんだ末にたどり着いた北京の舞台だった。2019年1月ごろ、股関節に違和感を覚え、一時、片足でしゃがむことができなかった。20年には国内で5季ぶりに敗れ、悔し涙を流した。そこから「ねじを一つずつ巻き直す」ように体を作り直し、何とか間に合わせた。

 「一瞬でも報われてほしい」…

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