「子どものためのSNSを」 独学でハーバードに進んだ5児父の挑戦
未成年のトラブルの温床とみられがちなSNSだが、むしろ「子ども用」をつくったら、素敵な世界が生まれるのではないか。「学び」を研究してきた5児のパパが職を辞し、12歳以下用のSNSの開発に乗り出した。目指すは、全国の子どもが安全につながり、感性を刺激し合えるネット空間だ。
子ども向けSNSの開発に踏み出したのは本山勝寛さん(40)。塾や予備校に頼らぬ学習法で東大、米ハーバード教育大学院へと進み、「学び」に関する10冊以上の著書を世に出してきた。
本山さんは公益財団法人「日本財団」で、家庭環境などに問題を抱える子どもたちの「第三の居場所」をつくる事業を全国各地で担ってきたが、11月末で退職した。株式会社「4kiz(フォーキッズ)」を立ち上げるためだ。
「子どもの、子どもによる、子どものためのSNSをつくりたい」
本山さんはこう訴える。「for kids(子どものために)」をそのまま、会社の名前にした。
新たなSNSは来年夏のサービス開始を目指す。本山さんが温めている「親子で楽しめる安心・安全なSNS」の構想は、こうだ。
会員の対象は5~12歳で、親が自分の子どもを登録。投稿内容は、子どもたちが絵や工作、ブロック玩具の作品や夏休みの自由研究のほか、日々の生活で人に伝えたいと思ったことなどを想定している。
SNS上のやりとりは、フェイスブックやインスタグラムに似た仕様にし、画像やコメントを投稿し、ほかの子どもたちがコメントを寄せる形を考えている。子どもが文字の入力に手間取ることを想定し、多彩なスタンプを用意する予定だ。
読みたいユーザーの「フォロー」、サイトの運営側がおすすめの投稿を子どもたちに届ける「リコメンド」、検索の目印となる「ハッシュタグ」、テーマごとの「ルーム」といった機能を設ける。
利用は基本無料。広告収入を柱に運営し、作品集の閲覧や特別なスタンプなどのサービスは有料化しようと考えている。
安全に利用してもらえる仕組み作り
本山さんは、安全に利用してもらえるための仕組み作りについても、いろいろと検討している。
まず、身元の特定を防ぐため、子どもは実際の氏名ではなく、ニックネームで参加する。プロフィルも自分の写真ではなく、自分の好みのイラストをアバター(分身)として使う。
「メッセージ機能」は設けない。1対1のやりとりは、不審な大人たちからの接触を招きかねないからだ。
「死ね」といった言葉は「NGワード」とし、そもそも投稿できない。問題のあるコメントや画像は運営側が削除できるようにする。
子どもが画像やコメントを入力しても、親が「承認」しなければ投稿できない仕組みも設ける。自分で発信できるように親に設定してもらった子でも、投稿した際は親に通知が届くようにする。
本山さんが「子ども用SNS」を作ろうと考えたのは、経済的に余裕のない家庭から東大進学を志した自身の経験が大きく影響しています。どんな世界を作ろうと考えているのか。記事の後半で詳しくご紹介します。
子どもの才能、伸ばせる場に
本山さんが子ども向けのSNSをつくりたいと思った理由の一つには、生き物が大好きな長男(12)の「快挙」がある。
長男は観察ノートを書いたり…
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