忍び寄る「コロナ破産」 バス運転手、8月まで仕事なし

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遠藤隆史 平賀拓哉
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見通しは何もたたない

 新型コロナウイルスの感染拡大で経済が深刻な打撃を受けるなか、自己破産の危機に直面する人たちが相次ぐ。各地の相談窓口には悲鳴のような声が寄せられ、対応する弁護士らは「政府が早急に支援策を打ち出さなければ、多くの市民の生活基盤が破壊されてしまう」と警鐘を鳴らす。遠藤隆史、平賀拓哉)

 「やっと一からやり直せると思ったのに。見通しは何もたたない」

 大阪府内の観光バス会社で運転手を務める男性(53)は、自宅で給与明細の束から3月分を取り出した。手取り額約19万円。数字をみつめ、うなだれた。最も多かった時期の約半分にすぎない。

 運転手として20年以上働いた。事務パートの妻との共働きで、高校生と小学生の子2人を養い、15年ほど前に一戸建ての住宅を約4千万円で購入した。毎月、約12万円のローン返済を続ける。

 バス業界は過当競争ぎみで収入は減っていった。生活費を補うカードローンの借り入れが増え、昨秋に個人再生手続きを申し立てた。債務額を減らし、自宅を残したまま暮らしを立て直すためだった。

 だがこの春、新型コロナの影響でインバウンド客が急減し、今月中旬から自宅待機に。8月まで勤務は入っていない。会社は基本給約15万円は出すという。ローン返済や生活費がまかなえるのか。自宅を失う「自己破産」が頭をよぎる。

 30代で結婚し、2人目の子は40代で授かった。返済に追われる日々で子の笑顔が救いだった。「子は宝。生きがいです」。安心して帰って来られる居場所を残すのが親の責任だと自らに言い聞かせてきた。

 国に望むのは、新型コロナ収束まで借金返済を一時的に猶予する制度だ。経済が持ち直し、仕事が回ってくれば自力で借金を返済できる。少しの時間がほしい。「子のために家を守りたい。返済の猶予できっと多くの人が救われる」

■返済のめどが立たず 自己破…

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