上地一姫

東京社会部
専門・関心分野沖縄・平和

現在の仕事・担当

沖縄や平和に関する出来事を追いかけています。米軍基地から派生する問題は安全保障という大きな文脈で語られがちですが、住んでいる人にとっては水だったり空だったり土だったりと生活に密着したところとつながっています。難しい、遠くの事と思われがちなテーマを、暮らしに根ざし、時にはこれまでと違った視点で、わかりやすく伝えられるかと模索しています。

バックグラウンド

沖縄生まれ、沖縄育ちです。出身者だけど、沖縄に住まないとわからないことや書くのが不安になることがたくさんあり悩む日々。離れたからこそ気づくことは多く、詳しくない人に伝えることもできると考え方を切り替え、記事を届けています。

仕事で大切にしていること

気温を含め生活環境ががらりと変わった初任地の岩手では、多くの新たな出会いが視野を広げてくれました。街づくりや防災などは引き続き、関心をもっています。
沖縄と岩手、この2県は政治の役割や人々の生活に与える影響を自然と考えさせられる出来事に出会える場所でした。「記者行動基準」にある「真実を追求し、あらゆる権力を監視して不正と闘うとともに、必要な情報を敏速に読者に提供する責務を担う」を忘れないことはもちろんですが、「報道を通じて人種、民族、性別、信条、社会的立場による差別や偏見などの人権侵害をなくすために努力する」ことを大切にし、住みやすい社会とは何かを追及し続けたいと思います。

タイムライン

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補選から構図が一変、20~40代の5人で混戦模様 衆院東京15区

 衆院東京15区(東京都江東区)は、柿沢未途元衆院議員(自民を離党)が区長選をめぐる公職選挙法違反事件で辞職し、4月に補欠選挙が行われたばかりだ。それから半年もたたないうちに、構図は一変。20~40代の若い候補者がそろい、混戦模様となっている。  「新しい自民党の始まり、新しい政治のスタートがこの選挙です」。衆院選が公示された15日、自民の大空幸星氏(25)は出陣式で声を張った。  不祥事を受け、補選で候補者の擁立を見送った自民が白羽の矢を立てたのが、大空氏だった。孤独や孤立を感じる人からの相談を受け付けるNPO法人の元理事長で、年齢も若く、「自民党再生のシンボル」(区議)との期待を背負う。街頭では「命を守る政治」の実現を訴える。  ほかの候補者は「政治とカネ」の問題や政治の信頼回復を重視する。  補選で初当選を果たした立憲民主党の酒井菜摘氏(38)は「江東区が政治家の不祥事により有名になったこと、みなさん怒っていると思う。いまこそ政治を変えるとき」と強調する。  補選では野党共闘が支えとなったが、今回は候補者の調整が難航。選対幹部が「かなり厳しい情勢」と頭を抱えるなか、防災対策や子育て政策を掲げ、「区民と一緒にまっとうな政治を実現していきたい」と無党派層への発信を強める。  共産党は補選で酒井氏の支援に回った小堤東氏(35)が立候補した。江東区は野党共闘が順調に機能する地区とされていたが、立憲の野田佳彦代表が安保法制の早期の見直しに慎重な姿勢を示したことで、共闘の機運がしぼみ、候補者の擁立を維持した。  小堤氏は「企業団体献金を受け取らない、政治資金パーティーを開かないのは共産党。裏金にも汚職、腐敗にもノーを突きつけよう」と語気を強める。  各党が警戒するのが、元参院議員で、無所属で立候補した須藤元気氏(46)だ。街頭で「生まれも育ちも江東区」とアピールし、ほかの候補者との差別化を図る。  補選では酒井氏に敗れたものの、無所属ながら3万票近く獲得し、2番手につけた。元格闘家で、知名度は高い。補選後も電飾のついた自転車で区内を走り、市民とのふれあいに注力してきた。「無所属で勝つことで、政界再編につなげたい」と話す。  金沢結衣氏(34)も無所属で立候補した。補選では日本維新の会公認で戦い、約2万8千票を得て3番手だった。その後、政策活動費の領収書の公開時期などをめぐって「目指す政治と方向性のズレ」が生じたといい、離党を決意。維新が候補者の擁立を見送るなか、「政治資金の透明化など、民間の当たり前を実行できる政治」の実現を訴えている。 ■東京15区候補者一覧 小堤 東  35 共新 須藤 元気 46 無新 酒井 菜摘 38 立前① 大空 幸星 25 自新 金沢 結衣 34 無新 届け出順。年齢は投開票日現在。丸囲み数字は当選回数。

2日前
補選から構図が一変、20~40代の5人で混戦模様 衆院東京15区

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衆院選で語られぬ気候変動 あれだけ暑くても…施策「不発」の過去も

 「普通に栽培して、乾燥・調製がうまくいけば1等米になる。コシヒカリの2等米が連続して出るなんて、いままで経験ないよ」。米農家が1986年に設立した新潟市の農業生産組織「木津みずほ生産組合」の坪谷利之代表(65)は、首をかしげる。  昨年、生産歴42年目にして初めて、玄米の背と腹の部分が白く濁る2等米になった。白い部分は柔らかく、精米後の歩留まりが悪くなる。梅雨明けから9月まで続いた高温と渇水の影響とみられた。  「稲を人間に例えると、マラソンランナーが1度も給水せずに完走を迫られている状況だった」  作況指数は、全国が「平年並み」の101だったのに対し、新潟は「やや不良」の95だった。 ■「我々だけでは対処できない」  今年は9月25日現在で「やや不良」の98。坪谷さんの水田では多くが1等米だったが、収穫期の9月後半に雨が降り、刈り取りが遅れた。倒伏した稲に栄養がいかず、1割ほど2等米が出た。  日照不足、ゲリラ豪雨、カメムシの発生。原因は一つではないが、「気候変動の影響はあると思う。我々の力だけではどうにも対処しようがない」。手をこまねいているわけにもいかず、堆肥(たいひ)などを入れ強い土づくりに努める。  だが、気候変動に関する候補者の訴えはあまり聞こえてこない。「物流や中山間地への対応、害獣対策などいろんなことが絡んでいる。トータルで政策を考えてほしい」  「当選したらどんな気候変動対策を進めますか」  投開票日を翌週末に控えた土曜日。福岡市の大学生、高田陽平さん(21)は福岡2区の候補者の1人にこうインタビューした。10月にもかかわらず、前日には同市で統計開始以降、最も遅い真夏日という「異常気象」を記録していた。 ■インタビューの依頼、大半が返事なし  緊張した面持ちで、市内の選挙事務所へ1人で向かう。自作の名刺を渡し、レコーダーを回しながら候補者に向き合った。時には「具体的にはどうするのか」などと切り込んだ。  高田さんは、学生たちでつくる「#選挙で聞きたい気候危機」のメンバーだ。団体はこれまでに国政や地方選挙の候補者に気候変動対策についての意見を直接尋ね、ホームページなどで公表してきた。  高田さんは今月、何十通ものメールを各候補者の陣営に送ってインタビューを依頼した。「同じ若い世代に見てもらって、考える材料にしてもらいたい」との思いからだ。だが、大半は返事がない。  今回の衆院選も争点として気候変動が目立っていない現状を痛感している。「党派は関係なく、考えなければならない問題なのに」と高田さんは嘆く。  気候変動対策の国際ルール「パリ協定」では、産業革命前からの気温上昇を猛暑や災害のリスクが高まる1.5度までに抑えることを目指している。来年2月までに各国は新たな温室効果ガスの削減目標を国連に提出する必要がある。  国内でも、再生可能エネルギーの拡大や原子力の活用などの方向性を決めるエネルギー基本計画が、年末にかけて議論の佳境を迎える。衆院選の結果は、その行方にも影響しうる。それでも、議論は低調だ。 ■「無力感」「遠い将来」  政府への政策提言などを続ける団体「日本若者協議会」が今月実施した、約5千人へのインターネット調査では、重視するテーマを三つ選んでもらったところ、社会保障や物価高は半数以上が挙げたが、気候変動や環境は14.7%にとどまる。同団体の大学生、芹ケ野瑠奈さん(22)は「気候変動に対しての無力感や遠い将来という感覚があり、関心が高まらないのではないか」とみる。  一方、「断熱や省エネなど身近な話題もあり、伝え方次第で関心を持つ人もいる。日本がよくなる方向に進むための議論なのだから、もっと具体的に論争していくべきだ」と指摘する。調査では、「気候変動対策を公約にすれば、政治観が異なっていても投票を検討するか」という問いに、「検討」「どちらかと言えば検討」と答えた人も25.8%いた。  日本の暑さは危険な水準に達している。5年平均の熱中症死者数は20年前は約300人だったが、今では約1300人と4倍に達する。岡山県内の病院に勤務する医師であり、医療の視点から気候変動対策を訴える活動を続ける横田啓さん(41)は「気候変動は命、健康、経済損失に直結する問題であるのに、つながりがイメージしにくく、議論にならないのではないか。本来は新型コロナのように議論の中心になってもおかしくない問題だ」と話す。「地球環境は『きれいごと』ではなく、今や『自分ごと』になる時代だ。だからこそ再生可能エネルギーや化石燃料の使い方についてきちんと論争してほしい」と話す。 ■「党派を超えて国民が主体的に」  なぜ気候変動問題が選挙の論点にならないのか。同志社大学の吉田徹教授(比較政治学)によると、過去には環境問題を意識して票の掘り起こしを試みた政党もあったが、不発に終わった。このため、「政党が主要施策として打ち出しにくいのでは」という。  有権者の関心は物価高など身近な話題に向かいがちだが、若年層ほど環境問題への危機感は強いと吉田さんはみる。ただ、日本の人口構造や若者の投票率を考えると、選挙における「マーケット」は大きいとは言えない。  一方、猛暑や台風、大雨による被害など、年々、気候変動を実感しやすくなっている。日本だけで解決できる問題ではないが、「世界有数の二酸化炭素排出国である日本が果たす役割は大きい。グローバルな論点を提示することは政党の役割であり、選挙でもっと訴えても良い論点であることは間違いない」と指摘。「党派を超えて国民が主体的に取り組むべき問題。選挙を通じて有権者の意識が高まれば、欧州のように、国民側から施策を提言する方法もある」と話す。

4日前
衆院選で語られぬ気候変動 あれだけ暑くても…施策「不発」の過去も

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横顔・東京15区

 衆院選が15日に公示され、27日に投開票される。各選挙区でどのような人が立候補しているのか。各候補者の歩んできた人生や、立候補に至った思いなどを紹介する。(届け出順) ■共産新顔・小堤東氏  小学生の頃に憲法9条を学び、「戦争しない日本に生まれてラッキー」と思った。高校の授業では、当時の首相の9条「解釈改憲」に反対する論文を書き、大学では法学部に進んだ。  大学3年の頃、友人に誘われて民青同盟に加わった。民青都委員会の活動などを通じて、街頭で約5千人の若者と対話し、長時間労働や低賃金、学費の高さなどに苦しむ声を聞いた。  「これは『自己責任』ではなく、政治の問題だ」と思い、政治家を志すようになった。  今回の選挙では、1日7時間、週35時間労働制を訴える。  長時間労働が原因で、職場と家の往復だけの日々を送る人や、介護や育児などの負担も加わって自分の時間が全く持てない人もいる。「政治の力で、労働時間を削減したい」  小学生の頃に始めた将棋が趣味。猫と戯れてリフレッシュする。 ■無所属新顔・須藤元気氏  高校生の頃、補導されたことがある。警察官に「あなたの目には光がある」といわれたことを機に、「悪さをやめ、国を良くしよう」と漠然と政治家を志した。  選挙に当選するのに必要とされる条件「サンバン」(地盤、看板、カバン)がない。「看板」を補うためプロの格闘家になり、知名度を上げた。  2019年の参院選に立憲公認で立候補し、初当選するも、その後離党。父親の居酒屋を手伝うため、地元・江東区へ戻った。「政治とカネ」の問題が相次いで発覚する事態を憂えて、今年4月の衆院15区補選に出るためバッジを外した。組織に縛られず、既得権益に関係ない個人のための政治を訴え、無所属で挑む。  「30年間賃金が上がらないのは、政党政治の限界。無所属で勝つことで政界再編につなげたい」と強調する。自転車で江東区内を回り、「消費税減税」などを訴える。 ■立憲前職・酒井菜摘氏  4月の衆院補欠選挙で初当選した。約5カ月の議員生活で、委員会質問は2回。悪質ホストクラブ被害対策推進法案など議員立法を2本、質問主意書を5本出した。「時間の限り、できることはやった」  候補者が多数出た7月の東京都知事選で、ポスター掲示などが問題になったことを受け、議論された公職選挙法の改正が実現しなかったことは心残りだ。  看護師と助産師の資格を持つ。28歳で子宮頸(けい)がんと診断され、手術や抗がん剤治療と、仕事の両立に悩んだ。長女を出産するも、頼れるのは夫だけという孤独な子育てを経験。「命や暮らしを守るのは政治の役割」。当事者の声を届けるべく、政治の道へ進んだ。  政治とカネの問題が最大の争点とみる。政治の景色や文化を変え、信頼感と実行力のある政府をつくるため、「まっとうな政治へ」を掲げる。 ■自民新顔・大空幸星氏  ひとり親家庭で育ち、誰にも相談できずに孤独を感じた時期があった。高校の教諭が、食事をつくるなど、助けになってくれた。  慶応大に在学中、オンラインのチャット機能で、孤独や孤立を感じている人からの相談を受け付けるNPO法人「あなたのいばしょ」を立ち上げた。  学校に行けない子ども、子育てに悩む親、ひとり暮らしの高齢者など、100万件を超える相談に対応し、悲痛な声を聞いた。  現場支援の重要性を実感すると同時に、限界も感じた。「悩まなくていい、苦しまなくていい国をつくることが必要なのではないか」と政治家を志した。  よく「若者は政治に関心が薄い」といわれるが、「関心が持てない政治が行われてきたからではないか」との思いも強い。  ペットのうさぎと犬と戯れるのが癒やしだ。 ■無所属新顔・金沢結衣氏  2021年に衆院選に立候補してから3度目の挑戦。4月の補欠選挙では維新公認で立候補したが、「目指す政治と方向性のズレ」が生じ、離党した。5年間、街頭に立ち続けてきた自負を胸に、今回は無所属で挑む。  大学卒業後、製菓会社に勤めた。29歳の時、キャリアか、育児・出産かと女性たちが悩んでいる現状や、産後に実力に沿った職務や報酬がもらえていない女性がいることに疑問をもった。雇用や教育の改革の必要性を感じ、国政を目指す決心をした。  「政治家だけがぬるま湯に漬かっていることが、政治不信を招いている」と強調する。民間目線で、金のかからない政治や支出入の透明化など、「当たり前」の実現を目指す。  防災士の資格をもち、消防団に所属する。「命を守る町づくり」のため、防災・減災を主要政策の一つに掲げる。

4日前
横顔・東京15区
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