村井七緒子

経済部 | AI・デジタルプラットフォーム担当
専門・関心分野AI、デジタル政策、人権

現在の仕事・担当

国内企業のAI開発や活用の動きのほか、グーグルやアップルなどの米ビッグテックやLINEヤフーといったデジタルプラットフォーム(DPF)を取材しています。公正取引委員会によるDPF規制も担当しています。

バックグラウンド

大阪地域報道部、鳥取総局を経て2015年から経済部で、鉄鋼や日用品などの業界を担当。2020年に自己充実休職をとり、家族で3年間ベルギーへ。IT業界を担当したときに社会を根底から変えようとするデジタル化の波に関心をもったことがきっかけで、休職中にブリュッセル自由大学(VUB)の大学院でデジタルメディアを学んで修士号(コミュニケーション学)を取得。このときの経験が今の取材活動の大きな支えになっています。

仕事で大切にしていること

当たり前ですが、伝える価値のある記事を正確に書くことです。すべての取材活動は読者に向けて記事を書くためであり、正確な記事を書くことで取材協力者からの信頼も得られると思うからです。いまの担当分野では、聞き慣れない言葉や新しい概念が次々と出てくるので、わかりやすく書くことも心がけています。

タイムライン

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ネット通販のトラブル、消費者を泣き寝入りさせない「第三者介入」を

■【言わせて!私の争点】デジタル時代の消費者保護に取り組む 加藤絵美さん  大学時代から消費者問題に取り組み始めて、20年以上になります。ネット通販が当たり前になり、デジタル空間が生活そのものになるなかで、消費者団体の守備範囲はどんどん広がっています。  1回きりの購入のように見せかけて定期購入させる画面表示のような、消費者を望ましくない選択に誘導する「ダークパターン」は、デジタル時代の新しい問題です。消費者に関する情報と引き換えに無料で使えるアプリやサービスが増え、個人情報保護も消費者に関わる課題です。  販売者と消費者を仲介するデジタルプラットフォーム(DPF)で購入した商品に問題があった時、出品した販売者と連絡がとれずに消費者が泣き寝入りするケースも多くあります。こうした問題に対処すべく2022年に施行されたのが、「取引DPF消費者保護法」です。  この法律で、プラットフォーム事業者に対して販売者情報の開示請求ができるようになりました。消費者行政においては大きなステップですが、相手が誰かを知ることは解決に向けた最低限の要件に過ぎず、消費者が求める被害の回復には不十分と言わざるを得ません。  私たちが望むのは、すべてのプラットフォーム事業者に「オンライン紛争解決手続き(ODR)」の設置を義務づけることです。事業者が自らの資金でODRを提供する会社や団体と契約し、自社のプラットフォーム上での販売者と消費者のトラブル時に、ODRが間に入って紛争解決を支援します。  欧州連合(EU)では行政機関がODRの仕組みを整え、その案内の掲載をネット通販事業者に義務づけています。米国の通販大手イーベイもODRを実装しています。販売者に対しては、プラットフォーム事業者が契約するODRからの要請を無視すれば販売できなくなる恐れがあるため、対応を迫るプレッシャーにもなります。  誰もが日々さまざまなものやサービスを消費しており、全ての人が「消費者」です。毎日の生活に密接であるにもかかわらず、消費者行政にスポットライトが当たりにくい。政治や行政には、消費者のための実効性ある施策を望みます。      ◇  かとう・えみ コンシューマーライツ・ジャパン理事長。国内の消費者団体を束ねる全国消費者団体連絡会の理事も務める。 ■《取引デジタルプラットフォーム消費者保護法》  プラットフォームを介したネット通販で、購入した商品でけがをしたり、ブランド品を注文して偽物が届いたりした際に、販売者の氏名や会社名、住所、電話番号などの情報を、購入者がプラットフォーム事業者に対して開示請求できる仕組みを規定した法律。事業者は販売者に意見聴取した上で、開示か非開示を決定して購入者に通知する。販売者の情報が分かれば、購入者が訴訟などの被害回復のための行動を起こす手立てになる。

2日前
ネット通販のトラブル、消費者を泣き寝入りさせない「第三者介入」を

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偽情報対策に「オールジャパン」の技術集結 富士通や慶応大など

 富士通は16日、大学や研究所などと共同で、インターネット上の情報の真偽を判定するシステムをつくると発表した。生成AI(人工知能)の登場で偽情報の脅威が増すなか、専門技術をもつ国内の研究者らが集まり、「オールジャパン体制」で対策に乗り出す。  富士通、国立情報学研究所、NEC、慶応大、東京科学大、東京大、会津大、名古屋工業大、大阪大の9者が共同研究する。「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)を通じて国から60億円の支援を受け、2025年度までのシステム構築をめざす。  開発するシステムでは4段階で情報の真偽を判定する。  例えばSNS投稿に対しては、分析しやすいように画像や映像をテキスト化するほか、AIが作成した精密な「ディープフェイク」かどうかも検知する。次に、発信した人の位置情報や日時、場所などの情報、国や自治体の公式発表などとも照らし合わせて矛盾がないかを確認。最終的にこれらの分析を統合して、根拠とともに判定結果を表示する。投稿の拡散規模や社会的影響度も評価するという。  まずは自治体や民間企業での利用を想定し、将来的には一般の利用者が使えるようにしたいという。  偽情報に関連する技術は、9者それぞれが研究していた。一方で、生成AIの急速な普及で偽情報のレベルは年々、高度化している。富士通の山本大・リサーチディレクターは、「複合的に情報を集めて統合的に分析することで、真偽がはっきりしてくる。オールジャパンで成果を出していきたい」と研究の意義を話した。  東京科学大の笹原和俊教授は「これまで日本の偽情報対策は、海外の後を追うような状態だった」とした上で、9者の技術を統合することで「世界に先駆けて実用できる技術を出すことができる」と話した。 ■対策は急務、国も本腰  ネット上の偽情報の拡大に政府も危機感を強めている。1月の能登半島地震ではSNSで偽の救助要請が拡散。著名人になりすまして投資を誘う詐欺広告の被害も深刻だ。  総務省は、憲法学者やITの専門家らをメンバーとする有識者会議を開き、こうした偽・誤情報の問題を広範に議論した。今年9月にまとめた130ページ超の報告書では、法改正などの制度的対応のほか、リテラシー向上や技術の研究開発・実証などの総合的な対策が必要だと提言。今月10日には新たな検討会を立ち上げ、制度化に向けた議論を本格化させた。違法な偽・誤情報について、SNSを運営するプラットフォーム事業者に迅速な対応を求める方針だ。  ただ、違法性のない偽・誤情報について、内容の真偽判定に政府がかかわれば国の検閲につながる懸念がある。そのため、総務省は一般利用者が情報の信頼性を自ら判断できるよう、環境整備に重点を置く。今年度は4.4億円の予算を投じて、企業などによる技術開発を後押ししている。

偽情報対策に「オールジャパン」の技術集結 富士通や慶応大など
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