神秘と魅惑、立ち上がる物語世界 ポール・オースターさんを悼む 翻訳家・柴田元幸

有料記事

 ポール・オースターは何よりもまず物語を語る作家だった。作家なんだから物語を語るのは当たり前じゃないか、と言われるかもしれないが、ほかの大半の作家以上にこの書き手は、紙の上のシミだか画面上の点の集合だかにすぎないものの連なりが読者の脳内で解凍され、場所や出来事や人間が立ち上がってくることの神秘と魅惑…

この記事は有料記事です。残り1206文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません