(社説)記録的猛暑 いまと未来の命を守れ
厳しい暑さが続いている。目の前の命や健康を守る行動が必要だ。同時に、未来のための地球温暖化対策にも力を入れなければならない。
日本の7月は、観測史上最高の暑さになった。熱波は世界的で、国連のグテーレス事務総長は「気候変動はここにある。そして、始まりに過ぎない。地球沸騰の時代が来た」と各国に具体的な行動を求めた。
温暖化による気象災害への影響は近年、スーパーコンピューターの計算で調べられるようになった。温暖化した地球と、していない地球をスパコンの中に作り出し、比較する計算を繰り返すと、豪雨や猛暑の起こりやすさの違いがわかる。
この手法を使った研究チームは、今夏の欧州南部や米国の熱波は「地球温暖化がなければ起こりえない現象だった」と指摘した。深刻な現実から目をそらさずに、気候変動に正面から向き合う必要がある。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今年まとめた報告書は、気温が産業革命前に比べて1・5度上昇すれば「10年に1度」の熱波の確率が4・1倍になると指摘した。すでに1・1度上昇しており、いまのままなら2030年までに1・5度を超えるとして「この10年の対策が数千年先まで影響する」と訴えている。
気候変動対策は、適応と緩和の二つがある。前者は温暖化で起きた現象への対処、後者は気温上昇を抑える活動だ。
猛暑なら、水分を補給し、適切に冷房を使う。炎天下での外出をなるべくせずにすむような社会を作るのも適応策だ。
一方で、将来の自分や子孫たちのために、再生可能エネルギーの利用を広げて温室効果ガスの排出を減らすという緩和策も急ぐ必要がある。
だが、世界的にみて排出削減は遅々として進んでいない。ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー情勢の変化も影を落とす。日本の脱炭素政策は原発活用に前のめりだが、事故のリスクや廃棄物の処理など難題が多く、依存は続けられない。
野生生物への悪影響や土砂災害への懸念など再エネの課題も指摘される。だが、できることはまだ多い。
ビルや住宅、荒廃農地に太陽光パネルを設置できる余地は大きく、取り付け場所を広げるフィルム型の開発も進む。再エネを大手電力が受け入れきれず一時的に止める「出力制御」も増えており、蓄電の仕組みづくりや送電網の拡充も急務だ。
太陽光や風力など地産の電力は災害対策にもなる。国産エネルギーである再エネの急拡大に全力を注ぐべきだ。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【本日23:59まで!】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
- 【視点】
■「いまと未来の命を守れ」そのために、朝日は夏の甲子園を見直しなさい 朝日新聞が暑さに対して言及したところで白けてしまうじゃないか。夏の甲子園、あれは何なのよ。暑すぎじゃないの。中長期で見直しをかけないと、人が死んじゃうじゃないの。熱闘
…続きを読む