くっきりはっきり新紙面 時時刻刻、より深くより広く

 5月から朝刊総合2面をリニューアルします。

 ニュースを深く読み解く「時時刻刻」の内容をさらに充実させるとともに、Q&A「いちからわかる!」を今まで以上に時時刻刻に連動させます。ニュースを分かりやすくお伝えし、理解をより深めていただくことで、明日へのヒントが見つかるページにします。

 朝刊3面で「時々刻々」が始まったのは1986年です。その後、タイトルは「時時刻刻」に変わり、近年では国際情勢や政治、政策、経済の動向など、最新ニュースの読み解きを中心に展開してきました。

 今回、強く意識したのは「分かりやすさ」「深さ」「広がり」です。

 「分かりやすさ」では、時時刻刻と「いちからわかる!」のテーマを原則としてそろえ、デザインも一体化します。複雑なニュースもそもそもから分かるようにお伝えし、ニュースの意味や背景の理解につなげていただけるようにします。

 「深さ」では、多角的にニュースを掘り下げる姿勢を大事にします。

 たとえばニュースの舞台裏、最前線のルポ、社会的な課題と向き合う当事者のストーリーなど、等身大の目線でニュースの核心に迫ります。さらに豊富なデータや識者の見方など、全体を俯瞰(ふかん)する目線でニュースの意味を考え、私たちは今どこにいるのか、この先どうなるのかを展望します。

 「広がり」では、空き家、相続、子育てといった少子高齢化の問題や、ジェンダー、食の安全、環境など、埋もれていた社会的な課題を掘り起こし、解決策を探ります。国際、政治、経済にとどまらず、くらし、教育、スポーツ、文化、医療、科学など幅広い分野に素材を求めていきます。

 ■文字が1割大きくなります 社会総合面は記事分量拡充

 新しい文字は読者のみなさまの「もっと大きい文字を」という声を受け、現在のやや平べったい文字を縦に約1割大きくしました。扁平(へんぺい)率が下がり、正体(せいたい)に近づくとともに、くっきりとした文字になります。1段に入る文字は12字から11字になります。

 さらに、行間を少し広げることで、大きくなった文字でも読みやすさを維持します。まずは1~3面と社会面、社会総合面、土曜別刷りbeに大きい文字を導入します。夕刊にも使います。

 原則火~土の朝刊社会総合面は、5月から記事スペースを拡充します。必要な情報量の確保に、引き続き努めます。

 ■読みやすさ工夫、朝日書体の歴史

 今回の拡大で、本文の縦書きの文字サイズは縦約3・6ミリ×横約3・9ミリとなります。縦が約0・3ミリ伸び、1文字あたりの面積は1割ほど広がる計算です。それに伴って、この文章のように、1行に入る文字数も12字から11字に変わります。

 日本の新聞の文字の特徴は「扁平(へんぺい)」。つまり縦に比べて横が長いことが挙げられます。この「扁平活字」の誕生には、戦争が関係しています。

 日中戦争が始まって紙不足が深刻化すると、新聞各社は1ページの段数を14段から15段に増やし、従来よりも小さな活字を使用するようになりました。旧厚生省は、国民の視力が低下して兵士を確保できなくなることを懸念し、各社と協議しました。その結果、「画数の多い漢字の使用を制限せよ」「句点を多めに」などと各社に細かく指示を出す事態となります。

 情報量の減少を抑えながらも文字をいかに大きく見せるか――。その観点から導き出されたのは、縦の長さは変えずに、横を伸ばすということでした。研究を重ねた朝日新聞は1941(昭和16)年12月、扁平活字の導入に踏み切ります。戦後の51年には、これを少し大きくしたものが、新聞業界の統一活字となりました。

 読みやすい文字を追求する試行錯誤は、以降も繰り返されました。

 80年代に入ると、新聞製作が、鉛の活字を使った活版印刷からコンピューター組み版へと変わっていきます。以来、複数回にわたって文字のサイズを拡大してきました。1文字の面積は、当初の扁平活字に比べて2倍以上になりました。

 2008年、11年には、縦の長さを伸ばして文字の扁平具合を和らげ、正方形に近づける変更を行いました。今回も特に縦を伸ばすため、文字の形はさらに正方に近づくことになります。

 また、1879年の創刊時の活字字形を基にした「太めで、ふところ(字の内側)を広く」という朝日書体ならではの特徴も維持します。

 デジタル化の時代にあって、紙の持ち味を生かすため、見やすい紙面と読みやすい文字を提供することは新聞の命です。

 今後も、よりよい紙面づくりのために、努力と工夫を重ねていきます。

 ■教育面に新たなパズル 来月2日から

 新たなパズルが5月から火~金の週4回、教育面に加わります。

 火曜は「同字選考」。複数の漢字が書かれた6枚のカードの中から、同じ組み合わせの2枚を選びます。水曜は「熟語あれこれ変換」で、示された漢字を組み合わせて熟語を作ります。木曜は、一直線に読める単語を探す「いくつあるかな」。金曜は、決められた数の直線を引いて図形をつくる「スリザーリンク」をお届けします。

 教育面には、4月から大きくなり、マス目に書き込みやすくなった数独もあります。火~金はじっくり頭の体操ができます。土曜別刷りbeの数独・パズルとともに週5回、お楽しみください。▼きょうの教育面にパズルを一足先に掲載しました…

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