「桜姫東文章」の1817年の初演時、桜姫・五代目岩井半四郎は数え年42歳。自己中心的な高僧・清玄と自意識過剰の悪漢・権助を演じた七代目市川團十郎は同27歳。老いゆく半四郎には後進の人気者を歯牙(しが)にも掛けぬ自負があり、性的蠱惑(こわく)を身上とし物堅い役柄に適さなかった彼が「制度としての姫役を…
「桜姫東文章」の1817年の初演時、桜姫・五代目岩井半四郎は数え年42歳。自己中心的な高僧・清玄と自意識過剰の悪漢・権助を演じた七代目市川團十郎は同27歳。老いゆく半四郎には後進の人気者を歯牙(しが)にも掛けぬ自負があり、性的蠱惑(こわく)を身上とし物堅い役柄に適さなかった彼が「制度としての姫役を…