(社説)女性当選最多 「均等」へ さらに努力を

社説

[PR]

 参院選の女性の当選者が過去最多となった。男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党に求めた候補者男女均等法の施行から4年。ようやく改善がみられたとはいえ、当選者全体の3割に満たない。自民党をはじめ、取り組みの遅れている政党の、さらなる努力を求める。

 女性の当選は35人。過去最多だった2016、19年の28人を上回った。候補者数でみても、衆院選を含めた戦後の国政選挙で初めて3割を超えた。

 立憲民主、共産の両党が、候補者、当選者とも5割を超えたのに対し、「均等」の理念に程遠かったのが自民党である。

 比例区では「3割」の擁立目標を掲げ、選挙直前に一挙に公認することで達成はしたが、準備不足は明らかだ。男性の現職が多い選挙区では調整が難しく、全体では女性候補の割合は2割台前半。当選者でみると約2割にとどまった。

 衆院では4~5月、すべての議員と政党を対象に、ジェンダー平等の観点から国会の現状を点検するアンケートが実施された。女性議員の数が「不十分」との回答は、「どちらかといえば」を含めて8割にのぼった。

 一定数の女性議員を確保するための仕組み(制度)についても、「どちらかといえば」を含め、約半数が「必要」と答えた。自由記述では、候補者や議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入を求める意見が目立った。

 議員の間でそうした認識が広がりつつあるのであれば、次の段階として、そうした仕組みも真剣に検討する時期に来ているのではないか。比較的取り組みやすい比例区から進めるのも一案である。

 世界経済フォーラムがきのう発表した2022年版のジェンダーギャップ報告書では、日本は146カ国中116位と、今回も下位にとどまった。政治・経済・教育・健康の4分野のデータを総合したもので、日本の場合は、国会議員や閣僚に占める女性の割合などの政治分野と、男女の収入格差や女性管理職の割合などの経済分野の点数の低さが大きく響いている。

 参院選では一定の前進が見られたとはいえ、昨年の衆院選では、女性の当選は45人と、前回を2人下回り、全当選者に占める割合も1割を下回った。小選挙区中心の衆院選は、参院の選挙区以上に、男性現職の壁が高いといえる。

 地方では、女性候補や議員の少ない地域が、国政以上に目立つ。来春の統一地方選に向け、各党は今から取り組みを強化してほしい。ハラスメント対策など、女性が立候補しやすい環境づくりも不可欠だ。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら