4候補、目玉政策を比較 河野氏・岸田氏・高市氏・野田氏 自民総裁選

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 自民党総裁選に立候補した4氏の政策論戦も17日、本格的に始まった。各候補は総裁・首相に就いたら、何を引き継ぎ、どんな政策を推し進めようとしているのか。目玉として訴える政策を中心に比較した。

 ■河野氏 脱原発こだわり

 行政の無駄削減などの改革姿勢を強調してきた河野太郎行政改革相。とくに「脱原発」にはこだわりがあり、エネルギー政策への影響は大きそうだ。2050年までの脱炭素化に向け、原発を一定程度使う姿勢は現政権と同じだが、原発の新増設は否定。新増設に含みを残す現政権とは一線を画し、再生可能エネルギーの導入をより速く進める可能性がある。

 また、使用済み核燃料再利用する核燃料サイクル事業は「早く手じまいすべきだ」と主張。歴代政権はサイクル事業を続けてきたが、中核の一つとなる高速増殖原型炉「もんじゅ」福井県)の廃炉決定で政策は破綻(はたん)したとし、使用済み燃料は直接処分すべきだとしている。

 社会保障分野では、「守るべきは年金制度でなく年金生活」と訴え、最低限の年金額を保障するため、基礎年金の財源に消費税を充てる改革案を示している。

 軍備を増強する中国と「同じことをやっていたのでは勝てない」とする。17日の会見でも「予算も無尽蔵に増やすということはできない」と、防衛費増には慎重な検討が必要との立場を示した。選択的夫婦別姓同性婚については「いずれも賛成」としている。

 ■岸田氏 中間層支援に力

 小泉政権以来の新自由主義的な政策を改め、「成長と分配の好循環」をめざすという岸田文雄政調会長。中間層や個人の生活の底上げに力を注ぐといい、子育て世帯などへの減税や補助金がより手厚くなる可能性がある。具体的には子どもの教育費や、住宅費の支援強化などを掲げる。

 看護師や介護福祉士、保育士らの所得を増やすため、こうした働き手の賃金に影響する「公的価格」を見直す方針。高所得者層ほど所得税の負担率が下がる「1億円の壁」を「打破」するとも主張。金融所得への課税を強化するという。新型コロナ対策では数十兆円規模の経済対策を打つ。「非正規や女性らに直接給付金を準備する」と語る。

 一方で、アベノミクスの3本柱だった大規模な金融緩和財政出動成長戦略については「当面堅持」するとしており、経済政策の大枠は変わらない。

 憲法改正の実現への意欲も示した。自民党は、自衛隊の明記や緊急事態条項の創設を含む「改憲4項目」をまとめている。政調会長として担当したこともあり、17日の記者会見では「4項目について、少なくとも次の総裁任期中にめどをつけたい」と語った。

 ■高市氏 危機管理に投資

 高市早苗総務相は所見発表演説会で、「日本を守る責任」を胸に立候補を決意したと語った。中国の脅威を念頭に、安全保障に力点を置く姿勢だ。

 対国内総生産(GDP)の1%以内におおむね抑えられてきた防衛費について「欧米並みにするなら2%、10兆円規模」とするなど、増額に前向き。中国の兵器開発に日本で学んだ研究者が従事している例が散見されるとし、先端技術の流出防止のためにも「経済安全保障包括法」の制定を訴える。憲法改正では憲法9条や大災害やテロ時に国民の権利を一時的に制限する緊急事態条項を重視する。

 「サナエノミクス」と名付ける経済政策は、アベノミクス以上の財政出動が特徴。テロやサイバー攻撃などに備える「危機管理投資」の必要性を訴え、災害対策に10年間で約100兆円規模を投じるなど公共投資を軸に増やす方針だ。

 一方、物価上昇率2%を達成するまで、政府の財政再建の目標は一時凍結する方針。生活困窮者に10万円の給付金を支給し、低所得者向けには減税と現金給付を組み合わせた「給付付きの税額控除」も提案する。自著には「『勤労インセンティブを促す』税制にすることが必要」と記している。

 ■野田氏 子どもへ投資増

 野田聖子幹事長代行の場合、「多様性」や「少子化対策」が政策のキーワードになっている。

 所見発表演説会ではジェンダー平等を掲げ、閣僚の半分を女性にしたいと表明した。女性や高齢者、障害者、性的少数者ら「小さきもの、弱きもの」を含めたすべての国民が力を発揮できる社会という理想を掲げており、選択的夫婦別姓にも賛成の立場だ。

 また、子どもへの投資を「最強の成長戦略」と主張する。人口減少鳥取県の人口に近い50万人規模で毎年進む現状を、国家の危機として真剣にとらえ、経済や安全保障上の重要な問題として取り組む姿勢だ。

 「子ども債」を発行して財源にし、教育・保育の環境整備に投資するなどして減少に歯止めをかけ、日本を「人口減少問題を子供への大胆な投資で乗り越えた国」に変えるという。

 議員定数の大幅削減にも踏み込む考えで、人口減にあわせて議員数を調整するのは「当然だ」という。

 コロナ対策ではまず、政府の主導で「臨時暫定の病床」をつくる方針。この体制が整うまでに経済活動の抑制が必要になった場合、雇用形態に関係なく、すべての働く人に一律で現金給付するとしている。

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