五輪コスト、結局は? 「関連」含め3兆円超か 公表分は1.6兆円

 東京五輪パラリンピックが閉幕し、これから検証が始まる。大会経費は招致時の想定から膨張。新型コロナの影響でさらに追加コストがかかったが、収入は減り、巨額の赤字が確実視されている。結局どれだけの税金が使われたのか。全容はまだ見えない。(前田大輔、岡戸佑樹、伊藤嘉孝)

 総額7340億円。

 2013年の招致時に、東京都が示した開催経費の見積もりだ。だが、現時点での大会経費は1兆6440億円。8年で2倍超にまで膨らんだことになる。

 負担するのは、都、国、大会組織委員会の3者。都7170億円▽国2210億円▽組織委7060億円で、公費は57%の9380億円だ。残りはスポンサー収入やチケット販売で賄う計画だったが、コロナ禍で狂った。

 原則無観客となり、チケット代収入約900億円はほぼ消滅。赤字になるのは確実で、公費負担の膨張は避けられそうにない。

 総額が確定した後、それを3者のうちどこが埋め合わせるのかも宙に浮き、押しつけ合いの構図が顕在化しつつある。

 国は、都に負担させたい意向だとされる。よりどころとするのは、国際オリンピック委員会(IOC)に提出した「立候補ファイル」。そこには「組織委が資金不足に陥った場合、都が補填(ほてん)することを保証」と記されているからだ。

 一方、都は、豊かな法人事業税に支えられた誘致時から一変、新型コロナ対策だけでも5兆円超を支出。幹部は「財政は火の車。厳しく交渉する」と、負担を国に求める意向を隠さない。

 ■IOC側「安く」

 そもそも、どこまでが大会費用に当たるのか。大会経費は「大きくも小さくも見せられる」(組織委幹部)のが実態で、ルールはない。

 例えば今大会で都は、大会経費の枠外の「大会関連経費」として、7349億円を投じた。暑さ対策で道路の遮熱舗装などにかけたもので、「大会後も生活のためになる」との理屈で枠外になった、と関係者は明かす。背景には、安く見せるよう、IOC側が再三求めてきた経緯がある。

 ただ、いくら安く見せようとも、1兆6440億円の枠の外に巨額の経費が存在する事実は動かない。

 国が負担した「枠外」の経費もある。「枠内」として公表されているのは2210億円だが、会計検査院は2年前の時点で「(国は)すでに五輪関連で1兆600億円を支出した」と指摘している。

 これらを勘案すれば、総額は優に3兆円を超える計算になるが、関係者の間では「もっと大きい」との声もある。

 ■全容は来年にも

 都、国、組織委は、それぞれ決算や検証を行うことになる。組織委の武藤敏郎事務総長は、今月6日の記者会見で、決算の大枠を来年3月までに固める方針を示した。公表済みの1兆6440億円がどう使われたかが、まとまることになる。

 ただ、「ブラックボックスは残る」(政府関係者)との見方も。組織委単独での契約はほとんどが公表の対象外で、説明責任が果たされるか危ぶむ声もある。

 都の負担分は、年内に開催が見込まれる都議会のオリパラ特別委員会で検証される。それを受け、全容が明らかになるのは、早ければ来年1月になりそうだ。

 国の負担は、国会で検証されるほか、会計検査院がチェックする。最終的な検証は、組織委の決算が出なければ進められず、結果公表は「早くとも来年後半になる」(関係者)という。

 3兆円を超えるのか。さらに巨額にのぼるのか。全容が見えるには、まだ時間がかかりそうだ。