夏の高校野球選手権、中止 新型コロナ、影響を考慮

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 全国高校野球選手権大会を主催する朝日新聞社と日本高校野球連盟は20日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今夏の第102回全国選手権大会と、代表49校を決める地方大会の中止を発表した。この日オンラインで開かれた運営委員会で決定し、日本高野連の理事会で承認された。

 全国大会の中止は、米騒動があった1918(大正7)年の第4回大会、戦争の影響を受けた41(昭和16)年の第27回大会に続き、3度目。42~45年は戦争のため中断していた。

 記者会見で、大会会長の渡辺雅隆・朝日新聞社社長は「最後の夏を迎える3年生のためにも集大成の場になる試合を設けられないかぎりぎりまで検討したが、感染拡大防止の取り組みが長期化し、第2波、第3波を指摘する専門家の方もいる。安全を最優先に考えた判断だった」と話した。

 日本高野連の八田英二会長は「高校野球を教育の一環とする限り、球児の心身の健全な発育と安全の確保は最優先課題。残念ながら、中止という選択をせざるを得なかった。本当に悔しい思いだ」と語った。

 運営委では、感染症に詳しい専門家の助言をもとに、全国大会で感染リスクを高める「3密」(密閉・密集・密接)を避ける対策を検討。試合を無観客開催にし、組み合わせ抽選会や開会式の取りやめなどを想定してきた。しかし、代表校の長時間移動や集団での宿泊などを考慮すると、感染と拡散のリスクを避けられないと判断した。

 また、選手権大会は全国大会と地方大会で構成される一つの大会で、感染拡大の影響で49代表がそろわない可能性もあった。

 地方大会については、政府の緊急事態宣言は14日に39県で解除されたものの、全国的に休校や部活動の停止が長期化。練習が十分でない選手の安全と健康を守ることが難しい。また、夏休みの短縮で登校日を増やす動きがあるなか、大会の開催は学業の支障になりかねないと判断した。

 これらを踏まえ、全国大会および地方大会の中止を決めた。大会回数は第102回として数え、来年の大会は第103回となる。

 また、日本高野連は8月に兵庫県明石市などで開かれる予定だった第65回全国高校軟式野球選手権大会と代表16校を決める地方大会、府県大会の中止も発表した。

 ▼10面=社説、13面=中止の理由、14面=思いやる声、15面=会見の一問一答、29面=球児、夢かなわず

 ■安全と健康、最優先に

 新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々にお悔やみ申し上げますとともに、罹患(りかん)された皆様にお見舞い申し上げます。

 第102回全国高等学校野球選手権大会は6月下旬からの49地方大会、8月10日に阪神甲子園球場で開幕予定だった全国大会の中止をともに決定しました。安全と健康を最優先に考えた苦渋の決断です。

 約3800校の選手が参加する地方大会は1カ月半にわたり約250球場で開催され、全国大会は団体での長時間の移動や長期の宿泊を伴います。選手や大会運営関係者の感染リスクはぬぐえません。休校や部活動の停止も長期化し、練習が十分ではない選手のけがなどが懸念されます。学業の遅れを取り戻すために夏休みの短縮などが検討されるなか、新たな大会日程を確保することも困難です。

 今後、スポーツイベント開催の制限が緩和される状況になれば、感染防止対策を充実させたうえで地域の実情に応じ、高校野球の大会や試合を支援する方策を探っていきます。

 <朝日新聞社>

 <日本高等学校野球連盟

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