拘束、調査時に外す 行政発覚を警戒か 高齢者介護

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 入居者の大半が「拘束介護」されていた東京都北区の高齢者用の「シニアマンション」で、居住者の要介護度認定で北区が調査に入る際に、一時的に拘束を外す運用になっていたことがわかった。拘束が行政に知られないようにするためだったとみられる。東京都は11日、このマンションに立ち入るなどの本格調査に入った。

 ■チェック表で「解除」確認

 介護保険サービスの利用者は、自治体の要介護度認定を受ける必要がある。そのために原則的に半年から1年に1回、自治体の調査があり、自治体職員やその委託調査員が自宅を訪れる。訪問前に本人や家族、ヘルパーに連絡がある。

 「シニアマンション」では原則、そこにヘルパーを派遣している訪問介護事業所の責任者に認定調査の事前連絡が北区から入るようになっていた。内部資料などによると、北区からの連絡が責任者に伝わると「認定調査チェックカード」が作成される。それに基づいて調査前に拘束が確実に解除されたかどうかを確認していた。少なくとも6年前からこうした運用になっていたという。

 カードには入居者名、介護認定調査の日時、調査員の名前が書かれている。「チェック表」には「転落防止帯等の抑制はあるか」と、拘束の有無を確認する項目がある。拘束があれば「外す物」の欄に「ドアロック」「手首ベルト」などの拘束具が記されている。

 複数のヘルパーによると、調査の前日から当日の朝にかけて責任者がカードの内容をヘルパーに伝える。調査の約30分前にも、確認の電話がヘルパーに入る。ヘルパーは解除した拘束具などを天井近くの棚に置き、カーテンで覆っていた。調査が終わると、責任者から再び拘束するよう指示がある。あるヘルパーは「調査員から隠すため」と認識していたという。

 このマンションへ認定調査に入ったことがある調査員は「調査は入居者の日常生活の状態を確認するのが目的なので、日常行っている拘束を外せば正しい調査ができない。当然、拘束していれば、こちらも何で拘束しているのかも聞く」と話している。

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