私的情報の漏洩「斎藤知事の指示の可能性高い」 本人は「認識ない」
兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題で、県の第三者調査委員会は27日、告発者の元西播磨県民局長(故人)の公用パソコンにあった私的情報を県の前総務部長が県議に漏洩(ろうえい)したと認定し、漏洩が「知事及び元副知事の指示のもとに行われた可能性が高い」とする報告書を公表した。
記事のポイント
(1)第三者委の最終報告書概要
(2)斎藤知事は自身の関与を否定
(3)発言の信頼性を検討し結論
(4)県議会の各会派の反応は
(5)立花孝志氏のXなどの削除要請
(6)前部長の情報漏洩疑惑とは
(7)三つの第三者委の判断出そろう
斎藤知事は同日、報道陣に「指示したという認識はない」と主張。「漏洩に組織の長として責任を感じる。自らの処分も検討する」とし、給与カットなどを示唆した。
前総務部長は井ノ本知明氏(57)。斎藤知事の側近の一人だった。県は27日、漏洩を地方公務員法の守秘義務違反として井ノ本氏を停職3カ月の懲戒処分としたが、処分で社会的・経済的制裁を加えているなどとして刑事告発はしない方針。井ノ本氏は「知事らの指示に基づく正当な業務だった」と第三者委に主張。27日、代理人弁護士を通じ「業務行為が情報漏洩と認定され、残念」とコメントし、処分に対し審査請求するとした。
第三者委によると、県議3人が昨年4月、元県民局長の私的情報を当時の総務部長から見せられたなどと証言。第三者委は前総務部長の目的について「『元県民局長の人格や人間性に疑問を抱かせ、告発文書の信用性を弾劾(だんがい)する点にあった』と3県議は捉えていると理解される」と指摘した。
前総務部長は当初、第三者委に漏洩を否定したが、その後、斎藤知事から「そのような文書があることを議員に情報共有しといたら」という趣旨の指示を受けて県議に口頭で伝えた、と認めた。
第三者委の聞き取りに斎藤知事は指示を否定したが、前総務部長と同席していた県幹部も知事の指示を証言。片山安孝前副知事も「知事から指示があったと聞き、反対せず、根回しするよう指示した」と答えたという。
前総務部長の情報漏洩疑惑は、昨年7月に週刊文春が報道。県は同10月に第三者委を設置した。
第三者調査委員会の報告書(概要)
・兵庫県の前総務部長が、元西播磨県民局長(故人)の私的情報を県議3人に漏洩(ろうえい)した
・漏洩は、斎藤元彦知事及び片山安孝元副知事の指示のもと、県議会への「根回し」の趣旨で行われた可能性が高い
・漏洩の目的について、県議3人は「元県民局長の私的情報を暴露することで、その人格や人間性に疑問を抱かせ、内部告発文書の信用性を弾劾(だんがい)する点にあった」と受け止めたと説明。一定の説得力がある
・元県民局長の私的情報は、地方公務員法上保護されるべき「秘密」に該当すると解するのが相当
斎藤知事「それぞれの中で証言されたと思う」
斎藤知事は27日、「知事及…
兵庫県の内部告発文書問題
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