「成年後見制度の利用で失職」は憲法違反か 最高裁大法廷が審理へ
成年後見制度を利用する障害者らが、警備業の仕事に就けないと定めた警備業法の「欠格条項」について、「職業選択の自由」を定めた憲法に違反するかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(尾島明裁判長)は21日、裁判官15人全員で審理する大法廷(裁判長・今崎幸彦長官)で結論を出すことを決めた。
一、二審判決は規定を違憲としており、大法廷が最終的な憲法判断を示すとみられる。
欠格条項は警備業法を含めて約180の法律に存在していたが、2019年の法改正ですべて削除された。こうした欠格条項が違憲だったかについて、最高裁が判断するのは初めて。
成年後見制度では、精神障害や認知症などで判断能力が十分でない人のために、裁判所が指定した親族や弁護士らが財産の管理などを担う。警備業法には、19年に改正されるまで、成年後見制度で「成年後見」や「保佐」の支援を受ける人は警備業に就けないとの「欠格条項」があった。
軽度の知的障害がある原告の男性は、警備会社で交通誘導の仕事を14年からしていたが、親族とのトラブルを機に17年に利用を始めた成年後見制度を理由に退職を強いられた。
男性は、欠格条項は「職業選択の自由」を定めた憲法に違反するとし、法律をつくった国に慰謝料100万円の支払いを求めて提訴した。
一審・岐阜地裁は21年、制度の利用者を警備業から一律に排除する規定は、憲法が保障する「職業選択の自由」と「法の下の平等」に反すると判断。規定を改廃しなかった国に立法不作為があるとして10万円の賠償を命じた。二審・名古屋高裁の判決(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/666/091666_hanrei.pdf)も欠格条項を違憲と判断した上で、賠償額を50万円に増やした。