ZARAやSHEINの服の行き着く先 チリの砂漠は「洋服の墓場」

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チリ北部アルトオスピシオ=河崎優子
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 南米チリの砂漠に、「洋服の墓場」と呼ばれる場所がある。各国のアパレルブランドの服が捨てられ、山のように積み上がっているからだ。大量生産・大量消費社会が生んだ大量の売れ残りや古着が、南米の砂漠に押しつけられている。

 チリ北部のアンデス山脈に沿って、南北に1千キロにわたって延びるアタカマ砂漠。砂漠の中にある居住地域を車で抜けると、あたり一面に洋服や靴、バッグなどが捨てられた異様な光景が目に飛び込んでくる。

 近くで見ると、スペインのアパレルブランド「ZARA(ザラ)」や中国発のインターネット通販「SHEIN(シーイン)」などの服だ。燃やされた衣類の黒い灰が風で舞い、プラスチックの焦げたような臭いが漂う。

 衣類のリサイクルを広める地元NGO「洋服を着た砂漠」の共同設立者、ジャンカルラ・サンブラーナさん(31)は、「こんな場所があちこちにある。2022年時点で、砂漠に捨てられた服は推計4万トン。世界から、いらない服が送られてくる」と肩をすくめる。

 車で約30分の場所にあるイ…

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この記事を書いた人
河崎優子
サンパウロ支局長|中南米担当
専門・関心分野
中南米の全分野、ジェンダー、環境、スポーツ
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    岩本菜々
    (NPO法人POSSE代表理事)
    2025年5月23日15時31分 投稿
    【視点】

    ファストファッションが支払う代償は、先進国からは不可視化されています。しかし、私たちが安い値段でファッションを享受できる裏側で、安さの矛盾が途上国に押し付けられています。  私はClean Clothes Campaignというファストフ

    …続きを読む
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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2025年5月25日3時35分 投稿
    【視点】

    普段、話題にならない問題を取り上げた良記事。ファストファッションのような「大量生産・大量消費」のビジネスモデルが最後に行き着くのは、そうやって生産されたものをどう処分するか、という問題。これまでプラスチックなどは環境破壊の原因としてリサイク

    …続きを読む