プロ野球機構に独禁法違反で警告へ フジ取材パス没収問題で公取委

高島曜介
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 プロ野球日本シリーズ(日本S)の取材パスをフジテレビから没収するなどした日本野球機構(NPB)に対し、公正取引委員会が近く、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで再発防止を求める警告を出す方針を固めた。関係者への取材でわかった。

 フジは、他局の日本S中継と同時刻に、大谷翔平選手も出場した大リーグワールドシリーズ(WS)のダイジェストを放送し、NPBはこれをパス没収の理由とした。

 公取委は、パスの没収が、競争相手である大リーグ機構(MLB)と取引をしたことに対する「制裁」の手段で、フジの取材機会を著しく制限したとみて調査していた。パス没収は放送各局のコンテンツ選択や番組編成の制約につながり、フジとMLBとの取引を不当に妨げ、独禁法が禁じる「取引妨害」に当たる恐れがあると判断。行政指導である警告を出す方針を固めた。

 NPBは19日夜にホームページで、公取委から警告の事前通知を受けたことを明かし、「事実認定や評価に重要な誤りがあり、法解釈としても疑義があるなど、当機構としては受け入れがたいため、警告が決定し公表された時点で、当機構としての正式な見解を表明いたします」と記した。

 NPBは12球団を統括する組織で、日本Sの放映権を管理している。フジが日本Sの裏番組でWSを放映したことについて、「信頼関係が著しく毀損(きそん)された」と主張。フジは日本Sの取材などができない状態となっていた。

 昨年の日本Sは10月26日~11月3日に開催され、TBSやフジなどが放映権を得て放送。フジはWSも生中継した。

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この記事を書いた人
高島曜介
東京社会部|調査報道担当
専門・関心分野
事件、外交、安全保障