「古今和歌集」序文、藤原俊成が記した写本を確認 戦後行方不明に

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塚本和人
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 日本初の勅撰(ちょくせん)和歌集「古今和歌集」の序文を、平安・鎌倉期の歌人、藤原俊成(しゅんぜい、1114~1204)が書き写した写本が、天理大学付属天理図書館(奈良県天理市)で確認された。古今集は原本が残っておらず、俊成の息子、藤原定家(ていか、1162~1241)による写本が広く普及するが、その元になった可能性が高く、専門家は「古今集研究の進展につながる重要な発見」と注目する。

 久保木秀夫・日本大学教授(国文学)が、18日に都内であった中古文学会で明らかにした。

 古今集の序文には、編纂(へんさん)者の紀貫之が平仮名で記した「仮名序(かなじょ)」と、漢文で記された「真名序(まなじょ)」があり、今回確認された冊子「古今和歌集両序」(縦22.6センチ、横15.5センチ)には両方の全文が掲載される。同館が1955年に古書店から購入したといい、久保木さんが書誌情報や筆跡、料紙の古さなどから、専門家の間で「昭和切(しょうわぎれ)」と呼ばれる俊成真筆の写本の冒頭部分と確認した。

 「昭和切」は、江戸時代初期に両序と巻1~10に分割されて伝えられたとみられるが、戦後に両序の行方が分からなくなっていた。

余白に「文武天皇」の書き込みも

 確認された仮名序では「なら…

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この記事を書いた人
塚本和人
橿原支局長|寺社・文化財
専門・関心分野
歴史、考古学、外交、国際関係