第1回「表現の自由」を奪い合う現代社会 訴えに耳を傾け、共存の道を探る
松浦祥子
新聞やテレビが昨今「オールドメディア」と呼ばれ、批判を受けている。インターネット上の言論に詳しい社会学者の伊藤昌亮・成蹊大教授は、背景に「表現の自由の奪い合いがある」と指摘する。どういうことなのか。
憲法が保障する「表現の自由」は当然、国民全てのものです。しかし、この問題をめぐる議論では得てして、「メディアの表現活動が、国家権力や暴力によって押しつぶされる危険性」が主眼にありました。
しかし、現代社会では、ユーチューブやXなどで誰もが発信者になれる。「自分で調べて、発信して、表現したい」という思いが高まった結果、既存メディアに対する「その自由を私たちにもよこせ」という敵意が一部に生じた。
そこでは既存メディアが「権…