第1回「表現の自由」を奪い合う現代社会 訴えに耳を傾け、共存の道を探る

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松浦祥子

 新聞やテレビが昨今「オールドメディア」と呼ばれ、批判を受けている。インターネット上の言論に詳しい社会学者の伊藤昌亮・成蹊大教授は、背景に「表現の自由の奪い合いがある」と指摘する。どういうことなのか。

 憲法が保障する「表現の自由」は当然、国民全てのものです。しかし、この問題をめぐる議論では得てして、「メディアの表現活動が、国家権力や暴力によって押しつぶされる危険性」が主眼にありました。

 しかし、現代社会では、ユーチューブやXなどで誰もが発信者になれる。「自分で調べて、発信して、表現したい」という思いが高まった結果、既存メディアに対する「その自由を私たちにもよこせ」という敵意が一部に生じた。

 そこでは既存メディアが「権…

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    雨宮処凛
    (作家・反貧困活動家)
    2025年5月1日12時0分 投稿
    【視点】

    「あいまいな弱者」にとっては既得権益とさえ見えてしまう「明白な弱者」問題について、昨年くらいから考え続けています。 「彼らがやっている表現の自由はある種、彼らの悲鳴みたいなところがあります」という指摘に納得しつつ、しかし、最後に指摘されてい

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    金暻和
    (韓国在住のメディア人類学者)
    2025年5月1日14時18分 投稿
    【視点】

    ジョン・スチュアート・ミルの古典『自由論(On Liberty)』に語られている「自由」という概念の起源を、今一度思い起こしてほしい。ミルによれば、自由とは本来、「権力に制限を加えること」であり、権力者による抑圧や侵奪から弱者を守るために生

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