はしか患者が増加 「万博もリスク」 すでに昨年の報告数を上回る
麻疹(はしか)の患者が増えている。海外でも流行していて、米国では子どもの死亡例も報告された。国立健康危機管理研究機構は、新型コロナウイルスの対策が緩和されて以降、患者が年々増えているとして、注意を呼びかけている。
「江戸時代に『麻疹は命定め』と呼ばれていて、命にかかわる病気と認識されていました」。麻疹に詳しい川崎医科大の中野貴司特任教授は、そう話す。
麻疹は、発熱と発疹が特徴的な症状。肺炎や中耳炎を伴うことも多い。まれに脳炎になり、命にかかわることもある。さらにまれだが、回復後、数年以上過ぎてから知能障害や運動障害などの「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」を発症することもある。
麻疹ウイルスは感染力がとても強く、予防のためには2回のワクチン接種が重要になる。1歳と小学校入学前の1年間に1回ずつ、麻疹と風疹の混合ワクチン(MR)が、自己負担のない定期接種の対象になっている。
同機構によると、今年は4月13日までに78人の患者が報告され、昨年1年間に報告された45人をすでに上回る。
患者が感染したと推定される地域は、わかっている範囲で国外が39人、国内が30人。国外ではベトナムが30人と多い。
年代別では、20代が30人(全体の38%)で最多。30代14人(18%)、40代12人(15%)と続き、0歳児も6人(8%)いる。
国内では2008年に10~…