あの日、住民が駆け込んだルートイン 「ほっとけない」10億円寄付
昨年の能登半島地震の発災直後から、地元の人たちをはじめ、医療関係者など多くの支援者の宿泊先となってきたホテルルートイン輪島を経営するルートインジャパン(本部・東京など)が、石川県輪島市に対し、企業版ふるさと納税として10億円を寄付した。22日、坂口茂市長が、長野県上田市の同社長野本部を訪れ、永山勝利会長に輪島塗の感謝状を手渡した。
ホテルルートイン輪島は、二つある建物棟のうち、本館が被災して使えなくなった。しかし、市内でも数少ない鉄骨造りの建物で、地元の人たちが避難のために駆け込んだ。ホテルはもう一つの東館で発災6日後の1月7日には営業を再開。水道や電気などインフラが十分に復旧していないなかで、医療をはじめとする支援関係者にとっても貴重な宿泊場所となった。
市長との懇談で永山会長は「いちばん悲しかったのは、行方不明だった中学生が遺体で見つかったことです」と言葉を詰まらせた。さらに、9月の奥能登豪雨についても「ここまでやるのか」という思いだったと語った。
発災直後、被災者や支援者を受け入れることについても「必要な役割」と説明した。
永山会長は「東日本大震災では(ルートイン)53施設が被災した。全国各地で災害が起きている。ほっとくことはできない」とし、「能登は絶対に復興してほしい」と思いを話した。
坂口市長は、朝市の復活など今後の展望について説明。そのうえで「宿泊場所がほとんどなかったときに、ホテルルートインが果たした役割は大きかった」と感謝の言葉を述べた。市は寄付について復旧復興のために使っていきたい、としている。