「買い取り・現金先払い」うたう業者は「実質ヤミ金」 地裁が判断

華野優気
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 「買い取り・現金先払い」をうたい、高額な違約金を求める手法は実質ヤミ金――。大阪市内の男性が東京都内の業者に約80万円の賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(皆川更裁判官)は22日、業者側に慰謝料請求を除いた約73万円の賠償を命じた。

 判決によると、同社のサービスは顧客が買い取りを希望する物品を写真で査定して代金を先に払い、物品の発送がないとそれを上回る違約金を求めるもので、2023年10月まで3年余りで5万件超の取引実績があった。男性は23回の利用で約53万円の買い取り代金を手にした一方、66万円の違約金を払った。

 判決は、同社の取引はほぼ全てで物品の発送がなされておらず、事務所には十分な保管場所もなかったと指摘。利用者に給料日や月給を申告させていたことも踏まえると、貸金業法上の「貸付」にあたり、法の上限を上回る「高利」をとったのは違法とした。業者は大阪に移転後の23年12月に閉鎖している。

 貸金との判別がつきにくいやりとりをめぐっては、給与を受ける権利を安く買い取って事前に資金提供する「給与ファクタリング」が社会問題化し、金融庁が20年に実質的に「貸金業」と判断。摘発が進んだ一方、今回のような手法が生まれている。

 原告代理人の上田智子弁護士は「同様の業者を減らしていける」と判決を評価しつつ、「貸金業法の改正で貸金の定義を改めていく必要がある」と話した。

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