アカデミー賞、作品内のAI使用許容の初見解 芸術分野では論争も

サンフランシスコ=市野塊
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 米映画芸術科学アカデミーは21日、2026年に発表されるアカデミー賞への応募作品のルールを公開し、作品内で人工知能(AI)を使うことを許容する見解を初めて示した。映画でのAI利用をめぐっては論争が起きており、アカデミーがAIの使用状況の開示の義務化を検討しているとの報道も出ていたが、そこまでには至らなかった。

 発表によると、新たに加えられたAIに関するルールは「映画制作に使用された生成AIやその他のデジタルツールは、ノミネートの可能性にプラスにもマイナスにもならない」「人間が創作活動の中心にどの程度関与していたかを考慮し、その功績を審査する」というもの。実質的にAI利用に制限をかけていない。

 AIをめぐっては、既存作品などを学習していた場合に、著作権侵害のおそれがあることや、AIでつくられた画像や動画、音声などが芸術分野の仕事を奪いかねないとの指摘がある。

 AP通信によると、25年のアカデミー賞の選考では、ホロコーストを生き延びたハンガリー系ユダヤ人の建築家の半生を描いた「ブルータリスト」で、ハンガリー語のなまりを強調するためにAIが使われたとし、その是非が議論を呼んだという。これを受け、米業界誌「バラエティー」は2月、アカデミーがAI使用の有無の開示の義務化を目指していると報じていた。

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この記事を書いた人
市野塊
サンフランシスコ支局
専門・関心分野
気候変動・環境、医療、テクノロジー