発達障害を「困った人」発売前の新刊に懸念 出版元の三笠書房が見解

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伊藤宏樹

 発達障害のADHD(注意欠如多動症)やトラウマ障害の人たちを表紙などで「困った人」と表現した発売前の本に、SNSで懸念の声が相次いでいる。出版元の三笠書房(東京都千代田区)は18日夜、ホームページに「当社の見解」と題した文書を掲載し、「事前告知の限られた情報の中で、ご不快な思いをされた方がいらっしゃった事実について、お詫(わ)び申し上げます」と謝罪した。一方で「本書籍をお読みいただくことによってご理解いただけるものと信じております」と記している。

 この本は、22日に発売予定の「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」。同社のホームページでは、この本の概要について「多くの『真面目ないい人』を苦しませる、職場の『困った人』たち」として、「言動や思考の裏側を解剖することで、戦わずして勝つためのテクニックを紹介します」と説明している。本の帯には「なぜ、いつも私があの人の尻拭いをさせられるのか?」と記し、「職場にはびこる愛すべき『困った人』のタイプ別対応マニュアル」として、ASD(自閉スペクトラム症)▽ADHD▽愛着障害▽トラウマ障害▽世代ギャップ▽疾患(自律神経失調症、うつ、更年期障害、適応障害、不安障害・パニック障害)が挙げられている。

 ホームページに掲載された「当社の見解」によると、この本は、職場や組織には「困った人」が存在する現実に基づいて執筆され、関わりを避けることでトラブルを回避する傾向が見られる、と指摘。「困った人」といかに真摯(しんし)に向き合い、付き合うかという視点で書かれた、と説明している。

 そのうえで、病気や障害の有…

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    上西充子
    (法政大学教授)
    2025年4月19日9時46分 投稿
    【視点】

     三笠書房の見解の全文を同社のホームページ上で読みました。発行に先立つ事前予告(事前告知)の表現だけで判断されるのは不本意であり、書籍を読んでいただければ真意は理解していただけるはずだ、との思いがにじんだ文書でした。  私は同書を読んでいま

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