第3回強まる中野サンプラザ維持の声 再開発頓挫までの「光と影の20年」

有料記事

木佐貫将司

 壊さずに使い続けて欲しい――。中野サンプラザの建て替え計画が行き詰まる中、強まっていったのが、サンプラザの維持を求める声だ。区はなぜ、建て替えにこだわるのか。その原点は20年ほど前にさかのぼる。

 「サンプラザは残せないのか?」「修繕すれば再利用できるはずだ」

 2025年2月22日、東京都中野区役所で、区長の酒井直人と区民が議論する「タウンミーティング」が開かれていた。テーマは中野サンプラザの再開発。参加した区民らは次々に建て替えの中止を求め、今の建物を使い続けるべきだと訴えた。質問が途切れず、会合は予定時間より1時間長くなり、一時騒然とする場面もあった。

 その直前の17日には、日本建築家協会中野地域会が、「保存活用の可能性を再度検討されるよう求める」などと建て替えの理由を明示するよう区に要望書を出していた。

 だが、区の主張は変わらなかった。酒井はタウンミーティングの場で「再利用には修繕費100億円以上かかる」などと、維持した場合のコストなどを強調した。

 その場にいた区関係者は漏らした。「再開発が頓挫して『寝た子』を起こしたな」

建設費高騰で頓挫した中野サンプラザ再開発。「サンプラザ建て替えか否か」は、主に中野区で長年議論されてきました。なぜ中野区は建て替えをあきらめないのでしょうか。

 サンプラザの歴史は光と影が…

この記事は有料記事です。残り1436文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
木佐貫将司
ネットワーク報道本部|首都圏ニュースセンター
専門・関心分野
選挙、議会、政策、地方自治、データ分析