病院まで4時間、ラオスのへき地で倒れた夫 海外赴任の労災に「壁」

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黒田早織

 海外赴任中の過労で家族を亡くした遺族や弁護士らが、「海外労働連絡会」を結成した。海外に派遣されて働く人たちには原則、国内の労働基準法が適用されず、過労死対策も十分ではない。当事者や遺族が直面してきた困難を政策提言につなげようと、声を上げ始めた。

 「ドバイで中近東・アフリカという広範囲を担当し、半年に8回も海外出張させられた」「言語ができないまま配属され、現地職員とコミュニケーションもできず、孤独だった」――。

日本との時差や環境の違いなどから、海外赴任は過重労働のリスクが高まりがちです。記事の後半では、国内と海外で働く場合のルールの違いや、海外赴任中の夫を過労で亡くした妻の思いを紹介します。

 3月4日に大阪市内で開かれた海外労働連絡会の初会合。遺族らが、当時の家族の状況や課題を共有していった。

 海外勤務者の健康管理が専門…

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この記事を書いた人
黒田早織
東京社会部|東京地裁・高裁担当
専門・関心分野
司法、在日外国人、ジェンダー、精神医療・ケア
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    小室淑恵
    (株式会社ワーク・ライフバランス社長)
    2025年5月6日15時13分 投稿
    【視点】

    現在、私の夫は海外赴任中であり、他人事と思えず、胸が苦しくなった。 ​「海外勤務者は原則、労災保険の適用外。『特別加入』をしていないと労災はおりない」という事実にも驚いたが、そもそも「海外赴任の労働者には原則、労働基準法が適用されず、過労死

    …続きを読む