第1回「占領が終わるまで戦う」 解放されたパレスチナ人が語る拘束の意味

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聞き手・伊藤弘毅

イスラエルから釈放されたシャディ・バルグーティさん(47)

 ガザに捕らわれた人質の解放と交換で、2月8日にイスラエル側から釈放され、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸にいる家族の元に、約21年ぶりに戻りました。いま、「墓」の中から出てきて、生まれ変わって人生をやり直すような気持ちです。

 2003年10月の夕方、西岸にあるイスラエルの検問所を、私を含む若者6人で襲撃しました。私は一人も撃っていませんが、同行したメンバーがライフル銃を発射し、イスラエル兵4人を殺害しました。

【連載】イスラエル・パレスチナ 市民の声 ガザ戦闘1年半

イスラム組織ハマスの奇襲と、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの攻撃が始まって1年半。約2カ月の停戦期間を経て戦闘が再開され、終結の道筋は見えないままです。イスラエル、パレスチナ双方のさまざまな立場の市民の声を聞きました。

 その年の12月にイスラエル当局に逮捕され、禁錮27年を言い渡されました。私は当時、パレスチナ自治政府の治安要員でしたが、その仕事と襲撃に関係はなく、自らの判断で行ったことです。イスラエルによるパレスチナの占領が、許せなかったからです。

 その当時、第2次インティファーダ(民衆蜂起)が過熱し、皆が「私たちは闘う必要がある」と考えていました。

 イスラエル兵はパレスチナの…

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この記事を書いた人
伊藤弘毅
アジア総局員兼ニューデリー支局員|アジア経済担当
専門・関心分野
南アジア、東南アジア、開発、エネルギー
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    増田ユリヤ
    (ジャーナリスト)
    2025年4月16日15時7分 投稿
    【視点】

    2019年にヨルダン川西岸地区を取材した際、インティファーダで拘束された家族がいまだ戻らず、消息すらわからない、という声をあちこちで聞きました。こんな状況になって、やっと釈放されたバルグーティさんとご家族の21年ぶりの再会。どんなに嬉しかっ

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    川上泰徳
    (中東ジャーナリスト)
    2025年4月16日17時29分 投稿
    【視点】

    なぜ、パレスチナ人はイスラエル軍の占領と戦うのか、という基本的なことを問うた、このインタビューは多くの読者に読まれるべきだと思う。 誰もが暴力を否定するだろうし、私もパレスチナ・イスラエルを報道してきたジャーナリストとして、暴力による解決は

    …続きを読む
イスラエル・パレスチナ問題

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イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]