甘茶かけて手を合わせ 釈迦の誕生祝う「花会式」 明日香村の飛鳥寺
塚本和人
日本で最初の本格的な伽藍(がらん)をもった寺とされる奈良県明日香村の飛鳥寺で8日、釈迦の誕生を祝う「花会式(はなえしき)」があった。この日は釈迦の誕生日とされる。特別に本堂正面の扉が開かれ、参拝者たちは日本最古の金銅仏とされる飛鳥大仏(国重要文化財)を拝み、「誕生仏」に甘茶をかけて手を合わせた。
法要後、木下正史・東京学芸大名誉教授が「飛鳥寺と飛鳥大仏の創立」のテーマで講演した。
飛鳥寺跡は、来年に世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都」の構成資産の一つ。「8世紀初めの『日本国』誕生の出発点は、飛鳥寺にある。飛鳥大仏も戦後、保存状況が良くないとの理由で国宝から格下げされた。だが、目や鼻、額、ほおなどは1400年の時を経てもよく伝えられている。朝鮮半島の百済や中国南朝との関係も含めて評価し直すべきだ。国宝級の値打ちがある」と語った。
植島宝照住職は「今年は乙巳(いつし)の年。大化の改新のきっかけになった645年の乙巳の変から1380年経ちました。乙巳の年は変化し、成長する年と言われます。世界遺産登録まであと一歩。成長する年になって欲しい」と話した。