先鋭化する中国ネット世論「愛国流量」のせい? 対日印象にも影響か

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上海=小早川遥平

 宅配ドライバーがバイクの後部に真っ赤な中国国旗をなびかせ、拡声機で「小日本を打倒する!」と叫びながら市街地を走行する。「小日本」は日本や日本人に対する蔑称だ。

 中国のSNSに上がる動画。古い投稿は2年ほど前にアップされており、その後も様々なアカウントが動画に「気骨があるね!」などと好き好きにテロップをつけて投稿している。

【前回はこちら】日本文化の投稿なぜ「愛国版」? YOASOBI上海公演で聞いた

受験や結婚といった人生の転機や、経済やライフスタイルの変化を、中国の人びとはワンフレーズの漢字で巧みに表現しています。そんな新語・流行語が映し出す、中国社会のいまを読み解きます。

 37万のフォロワーを持つインフルエンサーもこの動画を投稿。2千以上の「いいね!」がつく。否定的なコメントも多いが、それも含めて閲覧数(ページビュー、PV)は3万3300に上る。

 「愛国流量」

 中国語の「流量」はPVの意味。愛国心を強調するコンテンツはPVを見込めることからこう呼ばれる。それらで稼ぐことは、食べるという意味の「喫」を付けて「喫愛国流量」となる。過激な投稿が話題になってPVが増えるほど、投稿者の思うつぼだ。

「消費者と同じ愛国心を…」

 中国のネット空間では反体制的な投稿が厳しく規制されている。反日的な内容の投稿についても運営会社が取り締まるとされるが、放置されがちなのが実情だ。こうした「愛国流量」が世論に与える影響は無視できなくなってきている。

 「(弊社は)中国民族を代表する企業で、消費者と同じ愛国心を共有しています」

中国のSNSで飛び交う過激な「反日」表現。中国の人々の本音はどこにあるのか。後半で、冷静な意見を持つユーザーの声も紹介します。

 中国の粉ミルク最大手、飛鶴…

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この記事を書いた人
小早川遥平
上海支局長
専門・関心分野
中国社会、平和、人権