がんの妻を支える自分もサバイバーに 似たもの夫婦が決めたこと

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それぞれの最終楽章 看護部長ががんに(4)

米文学研究者 佐野潤一郎さん

 コロナ下の2020年春に卵巣がんを告知された妻の敬子が1回目の抗がん剤治療を終え、しばらくした21年2月、今度は私に膀胱(ぼうこう)がんが見つかりました。

 敬子は薬の副作用で抜けた髪が少しずつ生え始めたころでした。おかしな言い方ですが、私は正直うれしかったんです。これでやっと敬子と同じ苦しみが味わえるんだ、と思った。足取りも軽く帰宅して「がんになったよ!」と伝えたところ、妻は泣き出してしまいました。

 「私だけでも大変なのに、あなたまでがん患者になってしまうなんて……。看病で無理をさせて申し訳なかった」と涙ながらに訴えられました。

 私は首を横に振って、きっぱ…

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