男女800m、日本記録はともに高校生 代表コーチが語る将来性
陸上の男女800メートルの日本記録保持者は、ともに現役の高校生だ。
滋賀学園の落合晃(3年、4月から駒大)と東大阪大敬愛高の久保凛(2年)。昨年マークした日本記録は、9月にある世界選手権東京大会の参加標準記録に迫っている。
2人の特徴と今後の可能について、日本陸連の吉岡利貢・五輪強化コーチに聞いた。
吉岡コーチによると、パリ五輪の男子800メートルで準決勝に残った選手のうち、落合晃と同じく高校時代に1分44~45秒台の好タイムを出したのは3人。落合は世界的にも早い段階で記録を出している。
3人はその後4年以内に1分42~43秒台に到達した。落合も、世界のトップと早期に肩を並べる可能性がある。
ハードルを両足で跳び越える練習でも、短距離選手と同じようなバネを発揮できる。
「1分43秒台は現実的。長い目で見て、メダルのチャンスがある41秒台を出す可能性もある」
久保は、3000メートルまでこなせるスタミナが強み。上下動の少ないピッチを生かした走りながら、日本ではトップクラスのストライドも兼ね備える。
現段階でも「一つの完成形」の走りだという。
2人は2023年夏からパリ五輪出場を目標に掲げ、シニアの大会でハイスピードな試合を経験した。一方で高校生の大会や記録会では「怖いもの知らず」でタイムを狙った。
その二つの組み合わせが、記録向上の背景にあるとみる。
日本選手はこれまで世界選手権に男女5人が出場し、いずれも予選敗退だった。
吉岡コーチは「日本人に800メートルが向いていないわけではない。良い人材が競技を選ぶかどうかも関係する」。
男子の場合、800メートルの全国高校総体で入賞しても、箱根駅伝をめざして800メートルを続けていない場合がある。
日本記録保持者2人の今後について「一気に記録が伸びた後でプレッシャーもある。世界選手権をめざせる位置にはいるが、周囲は長い目で見守って欲しい」。