教科書検定、高校向け253点が合格 デジタル活用進む
文部科学省は25日、2024年度の教科書検定の結果を公表した。主に高校1年生が26年度から使うものが対象。高校向けは25社から計253点の申請があり、全て合格した。工業と商業を除いて、動画の解説素材などにネットでつながる2次元コード(QRコード)がほぼ全ての教科書に掲載されており、デジタル活用の傾向がさらに強まっている。
教科書検定は、国定教科書制度から転換し、1948年に始まった。民間会社が作ったものを、国がほぼ1年かけ、誤りの有無や、学習指導要領に照らした適否などを調べる。また2014年の検定基準改定で、地理歴史・公民では政府見解に基づく記述とすることになった。それらの観点から今回は国側が計6470件の意見を付け、修正されるなどした。政府見解関連の意見は1件だった。
QRコードは今回、1点を除く235点に掲載された。検定の対象は年ごとに小学校・中学・高校などと違っており、QRコードが掲載可能になった18年度以降、高校1年生向けの検定は2回目。掲載割合は、前回(20年度)の96.1%から99.6%に上がった。
科目別では「英語コミュニケーション」が最多で、24冊に計1527カ所。1冊平均63.6カ所に上る。接続先の素材は、本文の朗読音声や文法解説問題など。他の科目では、火山活動の解説アニメ(地学基礎)、プログラム作成映像(情報Ⅰ)などがある。
QRコードは、紙の教科書に載せられない動画や音声素材で内容を充実させる狙いがある。教科書選びの参考にする学校もある。ただ、接続先の素材は検定の対象外で、質確保などの点で課題が指摘されている。中央教育審議会(文科相の諮問機関)は教科書のデジタル活用をさらに進める方向で検討しており、QRコード接続先の素材も今後、検定対象となる可能性がある。
今回合格した教科書のページ数は1冊平均321ページで、前回検定より9ページ(2.9%)増だった。高1向けの教科書では「生成AI」関連が初めて登場し、「闇バイト」に注意を促す記述もあった…