日本支援のメトロ、渋滞大国での挑戦 変わり始めたホーチミンの景色

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ホーチミン=大部俊哉
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 急速な発展の陰で、深刻な渋滞に悩むベトナム最大の都市ホーチミンで、日本の支援を受けた初の都市鉄道が開業した。開業から2カ月以上が過ぎ、街はどう変わったのか。現地を訪れた。

 3月9日、ベトナム南部ホーチミン市中心部のベンタイン駅で、開業記念セレモニーが開かれた。記者は出席した日越の政府や企業の関係者らとともに、試乗に参加した。

 広々としたホームに、シルバーとブルーの真新しい車両が、なめらかに入ってきた。転落防止のためのホームドアと電車のドアが開くと、大勢の家族連れや学生たちが乗り込んだ。揺れは少なく、高層ビル街と自然が融和する街並みが一望できる。ベトナム語と英語の路線図も見やすい。

 ホーチミンメトロ1号線は2024年12月22日に開業した。ベンタイン駅から市東部のスオイティエン駅までの19・7キロを14駅、片道約30分で結ぶ。

 国際協力機構(JICA)によると、総事業費は約2120億円で、大半を日本が円借款で供与する。建設工事は清水建設日立製作所住友商事などの日本企業が受注。ベトナムでは、過去最大規模のインフラ事業となった。

 路線の一部には地下鉄区間があり、これはベトナム初の地下鉄となる。都市鉄道としては、首都のハノイメトロに次いで国内2番目の開業だ。

苦難の末の開業、乗客の声は

 「バイクより体が楽で速い…

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この記事を書いた人
大部俊哉
マニラ支局長|東南アジア・太平洋担当
専門・関心分野
安全保障、国際政治、貧困問題