停戦提案、ロシアに乏しい「利点」 政権幹部「合意は我々の条件で」
米国とウクライナが11日、30日間の停戦をロシアに呼びかけた。ただ、ロシアはウクライナでの戦況を有利に進めており、プーチン大統領に譲歩の姿勢は見えない。ロシアの政権幹部からは今後の交渉の長期化を見通す発言も出ている。
ロシア上院のコサチョフ副議長は12日、「どんな合意も米国でなく、我々の条件であるべきだ。実際の合意は前線で書かれるのだと、米国は理解する必要がある」と述べ、米国とウクライナによる停戦の提案を拒否すべきだとの考えを示した。
ロシア側から見れば、今回の提案を受ける利点は乏しい。ウクライナの戦況で優位に立ち、ウクライナ軍が一部を占領したロシア南西部クルスク州でも、占領地の奪還を進めている。戦闘が続けば、より苦しいのはウクライナ側だ。
しかも、米国は軍事支援の再開を決めており、一時的な停戦は、ウクライナ側に立て直しの猶予を与えかねない。
プーチン氏は昨年6月、和平交渉の「開始条件」として、一方的に併合を宣言したウクライナ4州からの同国軍撤退や、同国の北大西洋条約機構(NATO)加盟断念などを挙げた。今月6日にも、侵攻をめぐり、「自らのものは手放さない」と述べるなど譲歩の姿勢は見せていない。
ウクライナのゼレンスキー大統領もこれ以上の譲歩をする考えはないとみられ、ロシア側からは交渉の長期化をにらんだ発言も続く。ラブロフ外相は11日、「米国の新政権は正しい一歩を踏み出したが、問題解決への作業はほとんど始まっていない」と強調。ペスコフ大統領報道官も同日、米国からウクライナとの協議内容を聞く考えを示した一方、楽観的な立場は取らないとし、「常に最善を望むべきだが、最悪にも備える必要がある」と述べた。
■ロシア、交渉長期化を覚悟か…
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