蒔絵×木彫り=わじま熊 能登半島地震復興、50歳差の3人がコラボ
国の重要無形文化財の輪島塗を飾る工芸技法の蒔絵(まきえ)と、100年の歴史を持つ北海道八雲町の木彫り熊。両者の出会いから生まれた「わじま熊」を東京や大阪で展示し、昨年1月の能登半島地震で大きな打撃を受けた石川県輪島市の蒔絵職人を支援する取り組みが動き始めた。意外なコラボの主役は、震災後につながった年の差50歳以上の男女3人だ。
昨年4月、輪島の蒔絵師・大森晴香さん(32)の工房に、金沢市出身で今は北海道函館市で若者の居場所作りを進める団体を運営する下沢杏奈さん(27)が訪れ、こう提案した。「木彫り熊に蒔絵を施した新しい工芸品を一緒に作りませんか」
わじま熊は5月に大阪市の商業施設「KITTE大阪」でお披露目されます。「年の差50歳以上」のコラボを仕掛けた下沢杏奈さんはクラウドファンディングも募っています。記事後半で紹介します。
蒔絵は漆で描いた下絵に金粉や色粉などをまき付けて文様を表現するが、たいらでなめらかな面に施すのが一般的。大森さんは「毛並みが彫られた上に蒔絵を施すのは難しい」と思っていたが、下沢さんが持ってきた八雲町の小熊(こぐま)秀雄さん(78)が作った木彫り熊を見て、考えが変わった。
八雲町は明治期に尾張徳川家…