第3回「手のひら返し」廃案ルートまた浮上 北陸新幹線、さしかかった隘路

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永井啓子 佐藤常敬 野口陽
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 「小浜先行開業はあるんじゃないか」

 与党北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会が敦賀(福井県)―新大阪の詳細ルートの決定を断念してから20日後の2025年1月9日。年頭会見で福井県知事の杉本達治(62)は、「私個人の初夢」とした上で突如、投げかけた。

 物価の先高感を警戒し、「新幹線は国策だ。国が手をこまねいている間に建設費がどんどん上がっていく」と指摘。同県小浜市まで先行開業すれば「事業費は安く済み、その先の工事に集中でき、全線開業が早くなる」と主張した。

 小浜・京都ルートが通る同県南部の嶺南地域に、関西電力の3原発7基が稼働していることを引き合いに「50年以上も志を持って(電力を)供給し、関西・日本の発展のために尽くしてきた。(原発立地地域の課題の解決に向けた取り組みを推進する責務を明記している)原子力基本法の国の責務を果たしていただきたい」と語ったこともある。

 小浜先行開業の念頭にあるのは、昨夏以降、福井県の周辺で再燃した「米原ルート」への牽制(けんせい)だ。小浜までの鉄路を既成事実化させたいとの思惑もにじむ。

 地元の小浜市も着工の見通し…

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この記事を書いた人
野口陽
経済部
専門・関心分野
経済産業政策、政治資金、調査報道