CM中止は「キャンセルカルチャー」か 社会の変化読めなかったフジ

有料記事

聞き手 シニアエディター・尾沢智史

 フジテレビへのCMの取りやめをめぐっては、「行きすぎでは」という声も一部にあるようです。しかし、批評家のベンジャミン・クリッツァーさんは、日本社会にとって「いい流れ」だと肯定的に評価します。なぜそう考えるのか、今回のCM取りやめと「キャンセル(排斥)」はどう違うのかを聞きました。

      ◇

 ある個人の過去の不適切な行いや発言に、SNSなどを通じて人々が批判を行う。それ自体は否定すべきことではありませんが、行きすぎると、個人に過度な制裁を加え、社会から排斥しようとする「キャンセルカルチャー」になります。

 一方、今回のフジテレビへのCMの一斉取りやめは、「キャンセル」とは性質が異なると考えます。中居正広氏が起こしたとされる女性との深刻なトラブルには、そこに至るまでにフジの幹部社員の関与があったのではないかという疑惑があり、それに対して十分に説明責任を果たしていないと社会から見なされている。その状況にスポンサー企業が反応して、CMを取りやめたわけです。

 番組の内容を問題視してCM…

この記事は有料記事です。残り754文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    倉田徹
    (立教大学法学部教授)
    2025年3月3日8時45分 投稿
    【提案】

    クリッツァーさんの見解に賛同します。フジテレビが自身の問題ゆえに負うことになった損害が企業経営者に周知され、経営において人権への配慮が重要であるとの認識が広がることは、日本がよりよい社会に変わるために必要でしょう。  ただ、まだ現状では、次

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2025年3月4日18時25分 投稿
    【視点】

    ■スポンサーの姿勢も問うべきだ「総合的に判断して決定した」と言わせるな  良インタビューだが、そうであるがゆえに見出しで判断せず最後まで読んで欲しい。実はスポンサー側の姿勢についても、論じている。黙ってメディアへの広告を中止してはいけないと

    …続きを読む
フジテレビ問題

フジテレビ問題

元タレント中居正広さんと女性とのトラブルへの対応が問題視されているフジテレビ。事態は社長と会長の辞任に発展しました。フジ側は第三者委員会を立ち上げましたが、依然厳しい視線が注がれたままです。関連記事をまとめています。[もっと見る]