CM中止は「キャンセルカルチャー」か 社会の変化読めなかったフジ
聞き手 シニアエディター・尾沢智史
フジテレビへのCMの取りやめをめぐっては、「行きすぎでは」という声も一部にあるようです。しかし、批評家のベンジャミン・クリッツァーさんは、日本社会にとって「いい流れ」だと肯定的に評価します。なぜそう考えるのか、今回のCM取りやめと「キャンセル(排斥)」はどう違うのかを聞きました。
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ある個人の過去の不適切な行いや発言に、SNSなどを通じて人々が批判を行う。それ自体は否定すべきことではありませんが、行きすぎると、個人に過度な制裁を加え、社会から排斥しようとする「キャンセルカルチャー」になります。
一方、今回のフジテレビへのCMの一斉取りやめは、「キャンセル」とは性質が異なると考えます。中居正広氏が起こしたとされる女性との深刻なトラブルには、そこに至るまでにフジの幹部社員の関与があったのではないかという疑惑があり、それに対して十分に説明責任を果たしていないと社会から見なされている。その状況にスポンサー企業が反応して、CMを取りやめたわけです。
番組の内容を問題視してCM…