裏金問題で安倍派会計責任者を聴取 主導幹部「今は現職でない」

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 衆院予算委員会は27日午前、自民党派閥の裏金事件で有罪判決を受けた安倍派会計責任者(当時)・松本淳一郎氏の聴取を実施した。松本氏は裁判で2022年7月下旬に「ある幹部」から還流の再開を求められたと証言していたが、この日の聴取で「(幹部の)名前はいえない」とした。ただ、「今は現職(の国会議員)ではないと思う」と語った。安住淳予算委員長(立憲民主党)が記者団に明らかにした。

 聴取は午前8時から約45分間、安住氏や与野党の理事らが、都内のホテルで非公開で行った。議事録は作成、公開される予定だ。

 安倍派のパーティー収入の還流は22年に一度、中止の方針となったが、松本氏は裁判で、同年7月下旬に「ある幹部」から再開を求められたと証言。「ある幹部」が誰なのかは明らかにしてこなかった。また、「22年8月の幹部会議で継続が決まった」とも述べていた。松本氏はこの会議に陪席していた。

 この幹部会議には、塩谷立・元文部科学相、下村博文・元文科相、西村康稔・元経済産業相、世耕弘成・前党参院幹事長の4人が出席した。塩谷氏を除く3氏は、政治倫理審査会などで「会議では結論が出なかった」と説明しており、松本氏の証言と食い違っていた。

 4人のうち、現職でないのは塩谷、下村両氏。安住氏は会見で、「いま議員ではないということだから、結論から言えば、2人のうちどちらかになると思っている」と語った。

 安住氏によると、松本氏は聴取のなかで、「8月の会合で、再開しようというのが全体の流れだった。それに異を唱える人はいなかった」と語り、改めて8月の会合で継続が決まったとの認識を示した。安倍派幹部らの政倫審での発言との食い違いについては、「不思議なことだと思った」と語ったという。

 予算委は今年1月、松本氏の参考人招致を議決したが、本人が国会への出席を拒否したため、国会外で非公開の形で聴取が行われた。

 東京地裁は、松本氏の権限には「限界があった」とし、「虚偽記載の前提となるノルマ超過分の処理について、会長や幹部の判断に従わざるを得なかった」と認定している。このため、意思決定の過程が解明されるかも焦点となっていた。

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    三木由希子
    (専修大学教授)
    2025年2月27日13時12分 投稿
    【視点】

    2022年7月に還流再開を求めた幹部は今は現職国会議員ではないとのことなので、ある程度絞られた感はありますが、派閥幹部が主導し再開した裏金について、会計責任者である松本氏のみが起訴されて有罪になったのは、法の不備としか言いようがありません。

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