議員が「なんだとこの野郎」と罵倒 市長パワハラに揺れる市で市議も

滝沢隆史
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 市長による市職員へのパワハラが認定された秋田県鹿角市で、今度は市議による職員へのパワハラが疑われる言動が明らかになった。市議会が実施した職員へのアンケートで、回答した職員の約1割がパワハラやパワハラ的な言動を受けたり見聞きしたりした、とする調査結果が26日に公表された。

 アンケートは市職員273人を対象に1月末から2月中旬に庁内システムを使って匿名で実施し、237人が回答した。うち27人(11.6%)が、パワハラについて「ある」(11人)か「目撃した」(16人)と答えた。

 報告書には、具体的な内容もあった。「電話で『いますぐ現場に来い。大至急だ』と威圧された」、「突然激高し大声で『なんだと、この野郎』と罵倒された」など、市議の高圧的な言動を指摘する回答が多かった。ほかにも「身体的な特徴を話題にして侮辱された」「誤った情報を活動報告のチラシやSNSで発信され、精神的な苦痛を感じた」「無理な物品販売」との回答もあった。

 市議の言動が業務に与えた影響についても聞いた。「職員が萎縮し、職場環境が悪化する」「特定の議員に対応するのが怖い」「若手職員が否定され、若手職員が市役所から離れてしまう」などの指摘があった。

 同市では、関厚市長について、市の第三者委員会が1月、職員に対し「霞が関では、誰かが責任を感じてJRに飛び込んだり、ビルの上から飛び降りたりする」と発言したなど、計12の言動についてパワハラと認定した。これを受けて市議会は市長の不信任決議案を可決。関市長はこれに対し、2月に議会を解散した。

 第三者委の調査に先立ち、市が昨年7月に実施した市長のパワハラについて尋ねる職員へのアンケートで、「一部の議員からむちゃな要求や恫喝(どうかつ)をされた」とする市議についての回答もあったことから、市議会が対応を協議。市議会は同9月、議員の任期満了が近いことを理由に調査しないことを決めたが、市民から「自分に甘い」との批判を浴び、今年1月に一転して調査を決めた。

 議会解散で失職した前議長の中山一男氏は「市民からの要望があったにしても、威圧的な言動は許されない。第三者委による調査などの対応については新しい議会で取り組むことになる。今回の調査結果について市民に分かりやすく報告するべきだ」と話した。

 アンケート結果については、市議選(3月9日投開票)後の新議会が対応を協議する。報告書は市のホームページで公開している。

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