お酒は飲めない私たちが考えた 日本酒で過疎のまちを元気にするには

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小林直子

 横浜市の高校生2人が、過疎化に悩む福島県会津若松市のある地区の地域活性化策を考えた。名産の日本酒を通じて、若い世代と地区の交流を図るものだ。日本酒どころかお酒も飲んだことがない高校生が考えたアイデアとは。

 横浜市立南高校(港南区)の2年生、大橋実奈さん(17)と柴山莉央さん(17)は昨年春、学校の「総合的な探究の時間」に、横浜市職員からこんな話を聞いた。

 横浜市は脱炭素化に取り組むため、会津若松市の湊地区にある風力発電施設から電力の供給を受けている。しかし、地区は少子高齢化・過疎化が深刻だ。市として何かできないか――。

良い意味で裏切られたイメージ

 横浜市でも比較的高齢化率が高いエリアに住んでいて「地方創生に関心があった」という大橋さんは昨年5月、柴山さんを誘って市職員がアテンドする湊地区へのツアーに参加してみることにした。

 柴山さんは、湊地区の高齢化率は40%以上で、空き家や耕作放棄地が問題となっていると聞いて暗いイメージを持っていたが、「いい意味で裏切られました」。

 「活気があって、住んでいる人は明るく、とても温かかったんです」

 2人は一面に広がる田園風景に驚き、猪苗代湖畔ではエビを釣ってはしゃいだ。気がつけば湊地区にすっかり魅了され、「他の人にもこのまちを知ってほしい」と思うようになった。

 そこで、みんなが湊地区を訪れるツアーをビジネスプランとして本格的に考えることにした。

何度も訪問するにはどうすれば?

 2人が一番悩んだのは、継続性だ。一度訪問するだけのツアーでは交流は続かず、地域活性化にもつながらないからだ。何度も湊地区を訪れる仕組みをつくらなければ。

 そこで頭に浮かんだのが、日…

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この記事を書いた人
小林直子
東京社会部|教育担当
専門・関心分野
子育て・教育、スポーツ
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    筒井一伸
    (鳥取大学地域学部地域創造コース教授)
    2025年2月14日13時5分 投稿
    【視点】

    まずタブー視しない横浜市立南高校の「総合的な探求の時間」の取り組みに敬意を表したい。法的なこともあり,アルコールの「プラス面」については,なんとなく学校では取り扱いにくいものである。しかしタブー視して「やらない」「テーマにしない」のではなく

    …続きを読む