かつての雄姿へ、D51「お色直し」進行中 山口・徳山動物園
半世紀余り、徳山動物園(山口県周南市)の「顔」を務めてきたデゴイチ(D51形蒸気機関車)の「お色直し」が進んでいる。園の改修工事の一環。かつての黒光りした雄姿を取り戻すのは、3月末ごろになるという。
1月下旬、園の南側入り口にある機関車広場に、家族連れや鉄道ファンが集まった。大型クレーンにつりあげられた全長約20メートル、重量約91トンのデゴイチが、ゆっくりと着地すると、「わー」と歓声が上がった。
昨年10月から、園内の密閉式の作業場でアスベストや有害塗料を取り除く作業を行っていた。修繕作業が終わり、デゴイチが元の展示場所に戻された。
周南市によると、デゴイチは1940年に製造され、岩徳線などで活躍した後、廃車となった。71年10月、国鉄が旧徳山市に無償貸与した。デゴイチは翌月から園の入り口で来園者を出迎えてきた。
デゴイチは長く風雨にさらされ、さびや腐食が進んだ。乗り降りできた運転室も、いつしか立ち入り禁止になった。
今月上旬から、車体の塗り替え作業が始まる予定。酸化し、茶色くなった車体を塗り直すとともに、計器類の修復も行う。さらに、車両の横にはプラットホーム風の設備を設置する。「ホーム」からは、車輪の構造を観察したり、改修した運転席に入ったりできるという。
周南市はデゴイチの修復と同時に、園の玄関口である南側入り口全体の再整備を進めている。
「来園者が憩うエントランスゾーン」を掲げ、現役時代のたくましい姿によみがえったデゴイチを中心に、子どもや家族連れでにぎわう広場を整備する。デゴイチの周囲には、ベンチやあずまやなどを置き、サクラを植える。2025年度中のリニューアルオープンを目指す。
市動物園リニューアル推進室の岡本知也室長補佐は「地元で活躍したデゴイチを中心に、子どもたちに親しまれ、家族連れがくつろげる憩いの広場にしたい」と話している。