「標準的なサービス」超える自治体施策 東京都の留学助成から考える
あすを探る 砂原庸介さん
6人の論壇委員が交代で執筆するコラム「あすを探る」。今月の筆者は、神戸大学教授の砂原庸介さん(政治・地方自治)です。
東京都の小池百合子知事は、大学生などを対象に海外留学の費用を助成するという方針を1月に明らかにした。保護者などが都内在住であることなどを条件としつつも、所得制限なしに助成が行われ、1年間で最大300万円を超える規模になるという。
このような方針は、広く若年層に海外生活を経験する機会を提供する一方で、東京に住んでいるかどうかで得られる機会に差異がもたらされる。もともと多様な機会に恵まれやすい東京出身者とそうでない地域の出身者の格差が拡大する可能性もあるだろう。
しかしそのような差異は今に始まったことではない。しばしば強調されてきたのは小児医療費助成である。東京は他の自治体に先んじて手厚い給付を行ってきた。そして、東京が給付を拡大すると、住民の要求もあって周辺の自治体も助成範囲を拡大させる傾向があった。今回の支援も、同様に実施するのは難しいとしても、追随しようとする自治体もあるかもしれない。
このような差異はなぜ生まれ…