電通に罰金3億円の有罪判決 東京五輪・パラ大会をめぐる談合事件

植松敬
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 東京五輪パラリンピックをめぐる談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪に問われた広告最大手「電通」の元スポーツ局長補・逸見(へんみ)晃治被告(57)と法人としての電通グループの判決公判が30日、東京地裁であった。安永健次裁判長は、電通グループに求刑通り罰金3億円、逸見元局長補に懲役2年執行猶予4年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。電通側は同日、判決を不服として控訴した。

 安永裁判長は「被告らに大会を成功させたい思いがあったとしても、利益や業績向上を図る思惑があったことは否定できない」と指摘した。

 判決によると、逸見元局長補らは、大会組織委員会の運営局元次長=有罪判決が確定=らと共謀の上、競争入札が実施されたテスト大会の計画立案業務(契約金約5億円)や、入札をしない随意契約だった本大会の運営業務など(同約430億円)の受注予定業者を調整し競争を制限した。

 電通側は、最初の競争入札での談合は認めたが、契約額の約99%にあたる随意契約分では談合が成立しないとして一部無罪を主張していた。

 しかし判決は、元次長が最初の競争入札とその後の随意契約を「一気通貫のもの」と供述したと指摘。元次長は逸見元局長補と定例会で継続的に情報共有しており、電通側にとって重要な発注方式を伝えないことは考えにくく、電通などの業者も「(随意契約分を)受注する可能性が相当程度高いことを前提としていた」とした。

 量刑理由では、複数の大手企業が関与していることなどから「大規模な入札談合事案」と指摘したが、受注予定業者に確実に受注させるために入札価格などの情報交換が行われた事実は認められず、「競争を制限する程度は、必ずしも強くない」と述べた。

 電通グループは同日、「テスト大会の計画立案等業務で法令違反があったことを厳粛に受け止める」としつつ、判決の認定する法令違反の対象が本大会業務などにも及んだ点は「当社主張と大きく異なる」とのコメントを出した。

 事件では、元次長と電通側を含め法人6社と各社幹部ら計7人が起訴された。

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