TX開通20周年 運営会社長「自治体とのコラボレーションに力点」

鹿野幹男
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 つくばエクスプレス(TX)が8月24日に開業20周年を迎えるのを機に、運営会社の首都圏新都市鉄道(千代田区)が28日、記念事業に関する記者会見を開いた。渡辺良社長は「街づくりと鉄道の一体的整備が成果を発揮している」と、開業効果を語った。

 TXは茨城、千葉、埼玉、東京の1都3県の58・3キロを最高速度130キロで走り、つくばと東京・秋葉原を最速45分で結ぶ。1都3県に加え、千代田、台東、荒川、足立の4区、埼玉県八潮、三郷の2市、千葉県流山、柏の2市、茨城県守谷、つくばみらい、つくばの3市の計11市区や民間企業などが出資して運営している。

 1日平均乗車人員は2005年度、15万682人だった。沿線の宅地開発に伴い、子育て世帯を中心に急増。商業施設も進出しており、23年度は約2・5倍の38万2734人に増えた。

 渡辺社長は今後の目標として「成果をもとに(自治体との)コラボレーションを進めたい」と述べた。駅高架下の土地利用などで連携し、まちづくりを進める考えだ。また、「子育て環境を提供できることが将来につながる」とし、子どもの運賃などの減額も検討していることを明かした。

 懸案は混雑対策だ。30年代前半を目標に車両編成を6両から8両に増やすため、現在ホームの工事を進めている。設備の更新費も課題になってくる。

 同社によると、鉄道施設の建設に7268億円かかった。毎年約200億円の債務を返済しており、完済は47年度の見込み。渡辺社長は「手元のキャッシュの相当部分が返済に充てられている」と言及。運賃値上げの可能性を問われると「オプションの一つとして検討している」と語った。

 昨年暮れに沿線4都県の11市区が期成同盟会を設立。東京駅延伸と地下鉄新線への接続を国などに働きかける動きが表面化している。渡辺社長は「いまは事務的に意見交換する段階」と、動きを注視する考えを示した。

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この記事を書いた人
鹿野幹男
水戸総局|つくば地区担当
専門・関心分野
関心分野=教育、選挙、地方自治、地方創生