炭鉱と鉄道の関係、彫刻の来歴…山口・宇部の歴史を専門家が解説

青瀬健

 街の経済を支えた炭鉱や息長い文化活動となっている彫刻など山口県宇部市の歴史について、市史編纂(へんさん)に携わる専門家が解説する催しが25日、市内であった。

 鹿児島大准教授の三浦壮さんは、炭鉱と現在のJR宇部線の関係について話した。

 1880年代から輸送コストなどを考慮して沿岸部に炭鉱が展開され、次第に海底の鉱区開発が進んだこと。そして石炭や物資の輸送に必要な「宇部鉄道」が敷かれたこと。しかし自動車との競合などで厳しい経営を強いられた時期があったことなど、時代を追って炭鉱と鉄道の関わりを示した。

 彫刻について述べたのは東京造形大学教授の藤井匡さん。著名人の銅像など街中の彫刻は、明治政府が人々に「日本国民」という意識を浸透させようとしたことから始まり、だれが作者かはほとんど意識されなかったと指摘。

 戦後、作者の表現や個性が注目されるようになり、1961年に始まり「最も長く続いている野外彫刻展」としてギネス世界記録に認定された宇部市の彫刻展にもつながっているという流れを紹介した。

 市史は平成初期に出ているが、今回は近現代史を大幅に更新する。また、2004年に合併した旧楠町については町史が刊行されていないため、こちらはもっと古くにさかのぼって編纂し、数年後に完成させる予定だ…

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