JR米坂線、山形の8市町長は廃線求めず 上下分離、三セクも検討

坂田達郎
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 2022年8月の豪雨で被災し、全区間の7割超で運休が続くJR米坂線の復旧について山形県内の関係自治体トップが話し合う会議が22日、長井市内であった。沿線5市町を含む置賜地域の全8市町長が出席。廃線を求める声はなく、鉄路での復旧をめざすことで一致したという。

 JR東日本が昨年11月、運営面で自治体負担が生じる「上下分離方式」や「第三セクター」での運営という復旧案を示したことを受け、県が呼びかけて実現。会議は非公開で、終了後に座長の平山雅之副知事が取材に応じた。

 会議では、平山副知事が「豪雨から2年半がたち、米坂線を利用してきた人たちはしびれを切らしている。県が中心となって取り組みたい」と説明。県の考え方を示し、意見交換したという。

 県は「JRが主体的に鉄道を復旧するのが原則」と指摘。その上で、自治体が鉄道施設や土地を保有し、JRが運行する「上下分離方式」と、地域事業者による「第三セクター」での運営について、「課題やどの程度の費用負担かなどを検討したい」と提案した。

 出席者からは、JRが23年4月に試算を示した復旧費86億円について、人手不足などで建設コストが上がることへの不安や、人口減少が進む中で米坂線の利用拡大策をきちんと考えるべきだといった声が出たという。

 上下分離方式での山形、新潟両県の自治体側の負担額については、JRが年平均約12・8億~17億円との試算を示している。平山副知事は「財政規模が小さい市町村もあり、現行制度では立ち行かない部分もある。JRや政府の支援をこれまで以上に要望していく」と話した。

 山形県米沢市新潟県村上市を結ぶ米坂線は、山形県飯豊町で鉄橋が崩落するなど豪雨で甚大な被害を受け、今泉(山形県長井市)―坂町(村上市)間で運休。代行バスが走っている。

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この記事を書いた人
坂田達郎
山形総局
専門・関心分野
地域の産業・文化、防災