「過疎地を復興させてもね」を許す社会 下り坂の30年が生んだ空気

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聞き手・田中聡子

 阪神・淡路大震災から30年。その間も、日本は各地で大きな災害に見舞われました。社会の「空気」を研究対象とする社会心理学者の宮本匠さんは、災害が頻発するようになっただけでなく、日本社会が右肩下がりに入ったことが、災害を取り巻く世の中の空気を変化させていると指摘します。

能登半島地震で表れた変化

 ――この30年の社会の変化をどのように見ていますか。

 「阪神大震災があった1995年から、日本は『災間社会』にあると考えています。ここで言う『災間』とは、『災害と災害の間』ではなく、常に大きな災害と隣り合わせで『災害の間にある』という意味です。95年以降、毎年のように震災や台風、噴火などの大きな自然災害が起きています。さらにこの頃から、人口や国内総生産(GDP)など各種の指標が右肩下がりの時代に入る。社会資源が減少する中で起きた世の中の空気の変化は、昨年の能登半島地震の際に如実に表れました」

 「その一つが、『過疎地なの…

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