「門外不出」の妙技磨く、中国の伝統芸能「変面」舞う長崎の母娘
古くから海外との玄関口で、中国文化の薫りが漂う長崎。街の祭りやイベントでは中国の伝統芸能「変面」が披露されることも多い。軽快な音楽に乗り、踊り手の面が瞬時に入れ替わる、人気の出しものだ。「門外不出」という変面の妙技に取り組む母と娘がいる。
変面はもともと、中国四川省に伝わる演劇「川劇(せんげき)」の演出技法の一つ。美しい王が戦場では恐ろしい面をつけて戦ったり、仮面の義賊が金持ちから金品を盗んで貧しい人々に与えたりする物語で用いられた。
目にもとまらぬ速さで面が変わる演出は観客を魅了し、やがて変面だけが独立して演じられるように。その仕掛けは門外不出とされ、獅子や麒麟(きりん)といった中国の聖獣、三国志の武将など、1回のショーで十数枚の面が入れ替わる。
長崎市の中学2年、妃那(ひな)(本名・小林奈由)さん(14)は小学1年でデビューした。「カーテンを羽織っているみたいに重い」という衣装をまとい、華麗に舞う。演技を終え、あどけなさが残る素顔を見せると、客席から歓声が上がる。
母の小林奈々さん(41)は変面公演の企画会社を営み、自身も舞台に立つ。社長と変面師の二足のわらじならぬ「2枚の面」を駆使して、会社設立3年目となる2025年、さらなる飛躍を期す…